研究課題/領域番号 |
25461198
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
清水 健一郎 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (80385327)
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研究分担者 |
荒屋 潤 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (90468679)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | インフラマソーム / 喫煙 / 細胞老化 / マイトファジー |
研究概要 |
慢性閉塞性肺疾患(Chronic obstructive pulmonary disease:COPD)の病態を、インフラマソーム活性化とマイトファジーによる制御の点から解明することを目的として本研究を行っている。肺上皮細胞における喫煙誘導性細胞老化の亢進は、COPDの主要な病態と考えられており、本年度は、喫煙誘導性細胞老化における、マイトファジーの役割とインフラマソーム活性化について検討を行った。手術肺由来の正常気道から気道上皮細胞を分離培養した。タバコ煙抽出液(Cigarette smoke extract:CSE)を作成し、培地に添加し、喫煙刺激とした。1%CSE刺激により、ミトコンドリア由来の活性酸素種(Reactive Oxygen Species:ROS)産生が増加し、細胞老化が誘導された。ミトコンドリア特異的抗酸化剤MitoTEMPOが喫煙によるROS産生、細胞老化促進を抑制したことから、喫煙刺激はミトコンドリア由来のROSを介して細胞老化を誘導すると考えられた。一方、ミトコンドリア由来のROSはインフラマソームの活性化に関与すると考えられている。我々の検討でも、喫煙刺激は、Caspase1の活性化を誘導し、インフラマソームを活性化した。 以上の検討結果より、喫煙刺激はミトコンドリアからのROS産生を増加し、インフラマソームの活性化、細胞老化を誘導する可能性が考えられた。さらに、マイトファジーの調整によりミトコンドリア由来のROSを抑制することでインフラマソーム活性化、細胞老 化を制御できる可能性があり、さらに検討を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
COPD病態で重要な喫煙誘導性細胞老化における、マイトファジーの果たす役割とインフラマソームの関与を検討する上で、マイトファジーとインフラマソーム間で作用し、かつ細胞老化に関与する分子を同定することは重要である。本年度の検討結果から、ミトコンドリア由来のROSが重要な役割を果たしている可能性が明らかにできたため、今後の研究の発展が期待できる。ミトコンドリア由来のROSを抑制することで、喫煙誘導細胞老化及びインフラマソーム活性化を制御できると考えている。ミトコンドリア由来ROSの調整には、マイトファジーの活性化が重要である。現在、我々は、マイトファジー活性の調節蛋白である、Parkin 、PINK1のsiRNAおよび、発現プラスミドをそれぞれ入手し、さらなる病態の解明のための検討を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
喫煙誘導細胞老化、インフラマソーム活性化に、ミトコンドリア由来のROSが重要である。今後はミトコンドリア由来のROSの制御で重要な、マイトファジーの調節を中心に検討を行っていく予定である。具体的には、マイトファジーの制御により、インフラマソーム活性化や細胞老化を制御できるか検討を行う。傷害ミトコンドリアに対するマイトファジー活性の制御には、PINK1-Parkin系が重要であることが知られている。それらのノックダウンあるいは、強制発現によるマイトファジーの制御を試みる。さらに、実際のCOPD肺組織においてもParkin、PINK1の発現及びインフラマソームの活性化を免疫組織染色にて検討する予定である。
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