研究課題/領域番号 |
25461199
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
近藤 光子 東京女子医科大学, 医学部, 准教授 (50178430)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | TMEM16A / カルシウム活性化クロルイオンチャネル / 気道分泌 |
研究概要 |
気道粘膜にはクロルイオンチャネルが存在し、気道被覆層の水分や粘液分泌に深く関わっている。TMEM16A分子は新しく発見されたカルシウム活性化クロルイオンチャネル(CaCC)で、気道分泌や気道収縮に関わっていることが報告されている。本年度は抗原感作モルモット喘息モデルを用いて、抗原チャレンジによる急性気道分泌反応におけるTMEM16Aの役割について検討した。モルモットを卵白アルブミン(OVA)で腹腔内感作後、人工呼吸器を装着して、OVAを吸入チャレンジした。一部のモルモットはTMEM16A阻害薬を前処置した。直ちに気管を取り出し、PAS/AB標本を作製し、PAS/AB陽性の粘液面積を画像解析装置で測定した。2番目の実験として、感作モルモットの気管を摘出し、Ussing chamberにマウントし、voltage clamp装置で短絡電流(Isc)を測定した。chamber内でOVAによるチャレンジを行い、Iscの変化を観察した。TMEM16A阻害薬やCFTR阻害薬などのクロルイオンチャネル阻害薬を前処置してIscへの影響を検討した。次に気管上皮をTMEM16A抗体を用いて免疫染色を行った。対照群として抗原非感作モルモットを用いた。その結果、TMEM16A阻害薬は抗原チャレンジによる粘液分泌を抑制し、またクロルイオン輸送も抑制した。また抗原感作モルモット気管上皮はTMEM16Aの発現がみられ、非感作気管上皮より増強していた。以上のことから、TMEM16AはCaCCとして作用し、抗原誘発による粘液分泌やクロルイオン輸送に関わっていることが示唆された。今後はより詳細な作用機序についても検討をしていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
反復抗原感作モルモット喘息モデルを用いた急性気道分泌反応として粘液分泌とクロルイオン輸送の2点から実験し、現在までのところ順調に達成されている。
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今後の研究の推進方策 |
反復抗原感作モルモット喘息モデルを用いた実験の作用機序の解明の後、H26年度はモルモットの気道上皮細胞をair-liquid interface法で培養し、IL-13による杯細胞化生を作成し、TMEM16Aの発現と分泌機能について解析する。分泌機能はCa依存性のアゴニストであるUTPなどで刺激して粘液分泌とクロルイオン輸送を誘発し、TMEM16A阻害薬の影響について検討する。粘液分泌はムチンであるMUC5ACを指標として解析を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
注文した物品の納品に時間がかかっており、残金を残し次年度に支払いを行うこととした。 残金でELISAキットを購入予定にしている。
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