昨年度まではモルモット感作喘息モデルでのクロルイオン分泌に関する電気生理学的検討とTMEM16Aの気道粘膜における局在を証明した。今年度はモルモット気道上皮細胞をair-liquid interface法の条件下でIL-13を添加し10日間培養して杯細胞化生モデルを作成し、TMEM16Aの役割を検討した。その結果、Ussing chamber法による電気生理学的検討ではUTPによるCa依存性クロルイオン分泌の亢進と、TMEM16A 阻害薬であるniflumic acid、T16Ainh-A01、benzbromaroneによる抑制を確認した。さらにTMEM16A抗体、MUC5AC抗体、αTubulin抗体による蛍光免疫3重染色を行い、共焦点顕微鏡で観察した。その結果、TMEM16Aは特にMUC5AC陽性の杯細胞のapical membraneに局在していることが判明した。一方、αTubulin陽性の線毛細胞への発現は軽微であった。次に気道過分泌の治療にはマクロライドが有効であるので、IL-13誘導性杯細胞化生に対するクラリスロマイシンの効果についても検討した。その結果、クラリスロマイシンはTMEM16Aの発現を抑制し、杯細胞化生を抑制、線毛細胞へ分化誘導した。以上より、喘息モデルでTMEM16Aは杯細胞化生に局在し、Ca依存性クロルイオン分泌亢進に関わり、気道過分泌病態に深く関わっていることが判明した。またTMEM16A 阻害薬やマクロライドはTMEM16A の抑制を通して過分泌治療に有用である可能性が示唆された。
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