研究課題
本研究の目的は、細菌鞭毛蛋白フラジェリンが気管支喘息患者の病態形成にどのように関与しているのかを解明し、診断、治療につながる臨床的意義を見出すことである。平成27年度は、下記にあげた研究項目1.2.について以下の研究成果を得た。研究項目1:気管支喘息患者の血清中抗フラジェリン抗体の臨床応用の検討平成25年度に構築した血清中抗フラジェリン抗体測定系を用い、測定検体数を増やし、合わせて臨床データを蓄積した。最終的に、喘息患者群(n=63)及び健常者群(n=18)の血清中抗フラジェリン抗体を測定し、比較検討した結果、統計学的有意差を認めなかったが、喘息患者の抗フラジェリン抗体高値群と低値群の比較では、末梢気道流速制限に有意差を認めた。抗フラジェリン抗体は喘息病態を把握するバイオマーカーとしての可能性が示唆されたが、更なる検討を要すると考えられた。以上の研究成果は日本大学医学部総合医学研究所紀要 Volume 3 (2015)およびアレルギーの臨床35(13), 44-46, 2015に掲載された。研究項目2:フラジェリンによる気管支喘息発症メカニズムの解明平成25年度で確立したハウスダストダニ抗原(HDM)を用いたマウス気管支喘息モデルで、肺組織由来RNAで網羅的遺伝子解析を行った。その結果、TLR4を介した自然免疫機構に不可欠な分子であるMyeloid differentiation factor 2 (MD-2)が同定され、HDM感作段階で、血管内皮細胞に発現が増強されることを見出した。この研究成果は、Allergology International. 2015 Sep;64 Suppl:S37-45に掲載された。同様の方法により、H26年度に確立したフラジェリン誘導性アレルギー性気道炎症の動物モデルを用いて網羅的遺伝子解析をおこない、現在データ解析中である。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 2件)
Allergology International
巻: 64 Suppl ページ: 37-45
10.1016/j.alit.2015.05.011.
巻: 64 Suppl ページ: 54-63
10.1016/j.alit.2015.06.004.
アレルギーの臨床
巻: 35 ページ: 44-46
日本大学医学部総合医学研究所紀要
巻: 3 ページ: 7-9