研究実績の概要 |
最も新しいサイトカインIL-38(IL-1F10)はIL-1ファミリーに属し、IL-17を抑制すると報告された(Proc Natl Acad Sci U S A. 2012 Feb 21;109(8):3001-5)。しかしながら、IL-38の機能はよく判明していない。これまで、申請者らはIL-1ファミリーサイトカインIL-18がTh2細胞を分化誘導し、IL-13産生を増加させ気管支喘息、間質性肺炎、COPDを増悪させることを世界に先駆け証明した。そこで本研究では、IL-18と非常に構造が似ているIL-1ファミリーサイトカインIL-38に注目し解析を行った。申請者らは、C57BL/6バックグラウンドIL-38遺伝子欠損(KO)マウスを作製した。IL-38KOマウスでは野生型(WT)マウスより、IL-1beta, IL-6産生増加し、リウマチ(RA)マウスモデルの関節の炎症が悪化する。加えて、一部のリウマチ患者の血清中にIL-38が高値であった。IL-38はRAマウスモデルでは抗炎症性サイトカインの機能を持つことを証明した(Biochemistry and Biophysics Reports 2015)。これらの結果は、IL-1ファミリーは遺伝子学的に構造が似ているにもかかわらず、IL-18は炎症促進性(pro-inflammatory)サイトカインで、IL-38は抗炎症性(anti-inflammatory)サイトカインである可能性を示唆する。現在、呼吸器疾患におけるIL-38の機能解析及び発現関する結果は論文作成中及び未発表のため本研究実績書には記載していない。
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