研究課題/領域番号 |
25461205
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
戸恒 和人 東北大学, 薬学研究科(研究院), 客員教授 (10217515)
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研究分担者 |
今井 潤 東北大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (40133946)
高橋 和広 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80241628)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 遺伝子 / 循環器・高血圧 / 生理活性 / 発現・制御 / 腎障害 / プロレニン受容体 |
研究概要 |
平成25年度は以下の点を明らかにした。 1. 酵素免疫測定法(ELISA)を用いた血中・尿中Proレニン受容体((P)RR)濃度の測定:平成25年度は、独自に作成した自作のELISA及び市販のキットを用いて、正常者及び腎不全患者の血液を対象として可溶性(P)RRがヒト血中に実在するかを検討した。クロマトグラフィーによる解析にて、ヒト血中にはNguyen博士が予言した可溶性(P)RRが予想通りの分子量で存在することを見出した。本成果は、第17回日本心血管内分泌代謝学会にて発表した。また、健常者を含む各種疾患患者230名(フランス人)にて血中可溶性(P)RR濃度を測定し、レニン-アルドステロン系阻害薬を服用している患者、原発性アルドステロン症患者、ギッテルマン症患者では血中可溶性(P)RR濃度が上昇していることを見出し、学術誌に発表した(Hypertension 2014, 63:297-302)。 2. (P)RRはProレニンと結合してRAS系を活性化するとともに細胞に直接働き臓器障害を起こすと考えられる。高血圧と臓器障害をもたらすアルドステロン産生副腎腫瘍組織での(P)RR の発現を、免疫染色法、Western Blot法、定量的RT-PCR法により調べ、そのたの副腎腫瘍組織での発現と比較検討した。結果、(P)RR の発現は、アルドステロン産生副腎腫瘍組織で亢進していることを見出し、報告した(Peptides 2013,49:68-73)。 3. ヒト乳癌由来細胞における(P)RR 発現と細胞増殖との関係を検討した。siRNA投与により、乳癌細胞の増殖が抑制されることを見出し、報告した(第17回日本心血管内分泌代謝学会)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
組織特異的ノックアウトマウスモデルの作成が遅れているため、このモデルを用いた研究が予定より遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
1. ELISAを用いた血中・尿中可溶性(P)RR濃度の測定:大迫研究の保存血液、尿検体を用いて可溶性(P)RR濃度を定量する。可溶性(P)RR濃度と、腎機能や血圧値、遺伝子多型など腎臓・心血管障害に関わる表現型や血漿レニン活性、血漿アルドステロン濃度といった他のレニン・アンジオテンシン系のマーカーとの関係につき、横断的な解析を行う。 2. 組織特異的ノックアウトモデル及び動物疾患モデルを用いたインターベンション実験:(2-1).組織特異的ノックアウトモデル。予備的実験により、我々はすでにこのマウスが生後7日目に多発性嚢胞腎様の表現型を示すことを見出している。一方、尿細管特異的(P)RRノックアウトマウスは予後が悪いことが予想される。そのため、まず生存率と生後7日目の表現型についての検討を行う。(2-2).動物疾患モデル。我々はすでに(P)RRの発現が腎不全時の腎臓、心不全時の心臓・腎臓で増加することを見出している。現在阻害薬物の存在しない(プロ)レニン/(P)RR系を、(P)RR抗体やsiRNAを投与して阻害することにより臓器障害の抑制効果が認められるかを検証する。動物疾患モデルとして、5/6腎摘腎不全モデル、心不全モデル、脳卒中易発症高血圧モデルを使用する。 3. (P)RR-/- ES細胞を用いた (P)RRの機能解析:(P)RR floxedマウスより(P)RRflox/flox ES細胞系を確立し、この細胞にアデノウィルス-Creを感染させ、(P)RR-/- ES細胞を作製する。このES細胞に可溶性(P)RR及び膜貫通型(P)RR、全長型(P)RR、それぞれのpcDNAを導入し、(P)RRの3形態の内の1つを発現するES細胞系を確立する。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究の一部に達成の遅れが生じ、関連する消耗品の購入を抑制したため次年度使用額が生じた。 次年度にて、研究達成の遅れを取り戻す予定であり、購入を抑制していた関連する消耗品の購入に使用する。
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