研究課題
申請者は、臓器再生研究においてES・iPS細胞由来キメラ腎臓・膵臓の作成に成功し、国内外で評価を得ている。申請者の研究成果を活用可能な腎臓発生メカニズムを応用することで、2つの腎臓研究課題①腎疾患の病態解明・治療法開発、②ドナー腎臓の作成を目的とし、研究を計画した。具体的には、プロジェクトA:腎疾患の病態解明・治療法開発として、腎発生のKey転写因子であるTcf21の腎疾患・蛋白尿制御への関与の検討を、プロジェクトB:ドナー腎臓の作成として、In vivo(blastocyst complementationを用いたマウス腎臓作成)およびin vitroアッセイ法の応用による腎臓再生医療モデル、大型動物への展開(具体的には腎臓欠損遺伝子改変ブタの作製)を前年より継続して進めている。A.○腎疾患におけるTcf21の発現解析(in vivo実験系):ヒト腎生検、ラットPAN腎症モデルでTcf21の発現解析を行った。各腎疾患別にTcf21の発現変化の比較検討を行い、結果を解析中である。○糸球体ポドサイト培養細胞でのTcf21の発現解析(in vitro実験系):マウス糸球体培養細胞株を作成し,疾患模倣in vitroモデルでの機能解析を進め,新規性のある知見を得ている。○腎臓発生に寄与する血管新生分子VEGFと腎臓病との関連性の検討:抗VEGF阻害薬関連腎障害を臨床病理学的に検討した論文がHum Patholに掲載された。B.○iPS細胞を用いたキメラ腎臓のgenome-epigenome解析:iPS細胞由来マウスキメラ腎臓の詳細な腎臓発生特異的分子発現解析を行い、分子レベルでのiPS細胞由来キメラ腎臓の完成度を正常腎臓と比較し検証中である。○In vitroマウス腎臓分化アッセイ系の開発と腎臓幹細胞の純化法の確立:マウス胎仔腎臓の細胞・前駆細胞分画の純化法、最適環境のメカニズム(幹細胞ニッチ)の検討中である。
2: おおむね順調に進展している
複数のプロジェクトを同時に進めているが、いずれもおおむね順調に進展している。すでに一部の課題は発表・論文化されている。
腎臓発生の知見を臨床医学に還元することを目標として、腎臓病病態解明および腎臓再生を念頭に置き、研究を遂行する予定である。中でも、腎臓病病態における血管新生因子VEGF阻害薬に関係する腎障害の成果は学会発表・論文化され,Tcf21の関与の検討や解析結果は成果が出つつあり、発表・論文化を準備している。また、キメラ腎臓の作製や腎臓幹細胞アッセイに関する腎臓再生研究も着実に展開を図っている。
すべて 2015 2014 その他
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (1件) 備考 (1件)
Exp Hematol
巻: 43 ページ: 79~88
10.1016/j.exphem.2014.10.008
Nephrol Dial Transplant
巻: Suppl 1 ページ: i83~i93
10.1093/ndt/gfu385
Hum Pathol
巻: 45 ページ: 1918~1927
10.1016/j.humpath.2014.05.015
Clin Exp Nephrol
巻: 18 ページ: 697~703
10.1007/s10157-013-0901-x
Ther Apher Dial
巻: 18 ページ: 272~278
10.1111/1744-9987.12215
http://www.tsukuba-igaku-kidney.com/up/index.php?mode=s&cate=3&seq=40