研究概要 |
心腎連関という臓器間相互作用により急性腎障害が心筋細胞障害を惹起しうるかどうかを胴部実験にて検証することが本研究の目的である。 マウス急性腎障害モデルを作成して、腎臓および心臓の細胞障害、特にミトコンドリアの形態・機能障害について解析を加えた。具体的には腎虚血再潅流障害モデルを両腎動脈クランプ30分にて作成し、再灌流後24時間の時点での腎臓および心臓の細胞障害を検討した。病理学的検討として電子顕微鏡によるミトコンドリア形態の観察、MitoRedなどの蛍光ラベリング試薬を用いた蛍光顕微鏡でのミトコンドリア数および断片化の観察、TUNEL染色・活性型カスパーゼ3免疫染色によるアポトーシスの評価を行った。 これらの解析から、腎虚血再灌流により腎臓尿細管上皮細胞のみならず、遠隔臓器である心臓においても、心筋細胞でのミトコンドリア形態異常と細胞内シトクロームC上昇によるアポトーシスが誘導されることを確認した。さらにミトコンドリア数および形態を制御する分子群である、OPA-1, Mfn-1, Mfn-2, Drp-1, PGC-1alpha等の発現を検証すべく実験条件の最適化を行った。
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