研究実績の概要 |
急性腎障害における心腎連関の存在が提唱されているが、その分子メカニズムは明らかではない。本研究では腎虚血再灌流(IR)障害が心筋組織のミトコンドリア障害を惹起するかを検討した。 マウス腎IRモデルを作成し、再灌流24時間後の心筋組織におけるミトコンドリア障害を電子顕微鏡およびミトコンドリア形態制御タンパク(Dynamin-related protein 1 (Drp-1), Mitofusin 1, 2 (Mfn-1, 2), Optic atrophy 1 (Opa-1))の発現解析を用いて評価した。腎IR後24時間の心臓では、sham群に比べミトコンドリアの断片化を著明に認めた。心筋ミトコンドリア分画で、断片化を促進するDrp1がIR群で有意に増加していた。さらに、チトクロームC、活性化カスパーゼ3もIR群心筋組織で有意な上昇を示し、心機能低下も伴った。またDrp1阻害薬Mdivi-1の投与後にはミトコンドリア断片化が非投与群と比べて有意に抑制され、それに続くアポトーシス、心機能障害も改善することを確認した。
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