研究課題
Enzyme-Mediated Activation of Radial Sources (EMARS)法は,生細胞の任意の膜表面タンパク質の近傍(200-300 nm)にあるタンパク質分子群を細胞外から蛍光色素であるfluoresceinで網羅的に標識する方法である。これまでの検討で腎組織では特異的な標識が困難であることがわかったため,最初にラット腎臓から磁気ビーズ灌流法により高度に精製した糸球体を対象として詳細な検討を行った。スリット膜を構成する主要タンパク質であるネフリンの細胞外領域を認識する抗体(5-1-6モノクローナル抗体)を一次抗体として用い,特異的標識が可能であることがわかったfluorescein-tyramideを標識試薬として使用することにより, EMARS法により,ネフリン周辺のマイクロドメイン(200-300 nm)にある膜表面タンパク質を,一次抗体依存的にfluoresceinにより網羅的に標識することに成功した。可溶化した標識タンパク質はfluoresceinに対する特異的抗体を用いて免疫沈降により濃縮後,トリプシン消化で生成したペプチド試料を高感度・高精度質量分析計を用いて同定したところ,既知のスリット膜構成分子nephrin、Neph1、podocinに加えて,JAM-A,claudin-5,GLEPP1,CAR,CRB2,Thsd7aなどの微量成分まで同定できることがわかった。最終的な目的は,IgA腎症臨床試料(凍結腎生検標本)を用いたIgA免疫複合体体の解析であり,この課題に大きく近づいたといえる。
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