| 研究課題/領域番号 |
25461213
|
|---|
| 研究機関 | 独立行政法人国立病院機構(金沢医療センター臨床研究部) |
|---|
研究代表者 |
北川 清樹 独立行政法人国立病院機構(金沢医療センター臨床研究部), その他部局等, その他 (60436821)
|
|---|
| 研究分担者 |
和田 隆志 金沢大学, 医学系, 教授 (40334784)
|
|---|
| 研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
| キーワード | 急速進行性腎炎症候群 / 再燃 / Vasculitis damage index / 感染症 |
|---|
| 研究実績の概要 |
本研究では急速進行性腎炎症候群（RPGN)の腎機能予後および生命予後を改善することを目的として，RPGNの再燃・再発を予測し疾患活動性や長期予後を反映する臨床検査を確立することを目的としている．わが国では2002年にRPGNの診療指針が刊行されている．このため現在の診療指針に準じた治療を行った症例における再燃に関連する因子を抽出するために，金沢大学附属病院および関連施設にてRPGNと診断した112例のうち2002年以降に診断した52例において検討を行った．観察期間中に12例が再燃した（観察期間の中央値 729日）．再燃に関連する因子を検討する目的でCox比例ハザードモデルにて検討した．臨床所見では寛解時のVasculitis damage index (VDI）値，病理所見では半月体形成率が再燃に関連する因子として抽出された．さらに再燃した症例では感染症の併発率が高値であった．このため感染症の併発に関連する因子についても検討を行った．感染症併発に関連する因子を検討する目的でCox比例ハザードモデルにて検討した． 臨床所見ではRPGNの臨床重症度，治療薬としては寛解導入療法におけるシクロフォスファミドの使用，検査所見では治療開始時の血清Cr値，IgG値が感染症併発と関連する因子として抽出された．さらにこれらの因子で解析を行ったところ， RPGNの臨床重症度が感染症併発に最も関連する因子として抽出された．
以上の結果からわが国のRPGN診療指針が刊行された2002年以降に発症したRPGN例において，寛解時の臓器障害の程度が再燃に関連することが示された．また診断時の重症度および寛解時の臓器障害の程度が感染症併発に関連することが示された．RPGNの更なる予後の改善のためには，診断時の重症度が高い症例および寛解時の臓器障害の強い症例に対する治療法の検討が必要と考えられた．
|
| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では急速進行性腎炎症候群（RPGN)の腎機能予後および生命予後を改善することを目的として，RPGNの再燃・再発を予測し疾患活動性や長期予後を反映する臨床検査を確立することを目的としている．これまでの検討では寛解時の臓器障害の程度が再燃に関連することが示された．また診断時の重症度および寛解時の臓器障害の程度が感染症併発に関連することが示された．特に感染症の併発が腎機能予後と生命予後に関与することが示されている．再燃や感染症の発症を予測するバイオマーカーの検索とともに，今回の検討で示された再燃や感染症のリスク群に対する治療戦略を検討する必要がある．
|
| 今後の研究の推進方策 |
本研究では急速進行性腎炎症候群（RPGN)の腎機能予後および生命予後を改善することを目的として，RPGNの再燃・再発を予測し疾患活動性や長期予後を反映する臨床検査を確立することを目的としている．再燃や感染症の発症を予測するバイオマーカーの検索として，金沢大学附属病院および関連施設にて保存されている尿検体・血液検体を用いて網羅的なサイトカイン・ケモカイン発現の評価を行う．最終候補となったバイオマーカーに関しては長期例の経時的な評価により，再燃・再発，感染症や長期予後を反映するかについて解析を行う．
|
| 次年度使用額が生じた理由 |
本研究ではRPGNの腎機能予後および生命予後を改善することを目的に，再燃・再発を予測し疾患活動性や長期予後を反映する臨床検査を確立することを目的としている．平成26年度は金沢大学附属病院および関連施設の症例における臨床病理所見の検討を中心に行ったため次年度への使用額が生じた．今後は再燃・再発や感染症の併発の予測，腎機能予後や生命予後を反映するバイオマーカーの検索を行うことで，より簡便な臨床検査法の確立を行う．最終的には前向き研究にて有用性を検討する必要がある．
|
| 次年度使用額の使用計画 |
本研究ではRPGNの腎機能予後および生命予後を改善することを目的に，再燃・再発を予測し疾患活動性や長期予後を反映する臨床検査を確立することを目的としている．平成27年度はこれまでの検討で得られた再燃・再発や感染症の併発に関連する臨床病理所見を反映するバイオマーカーの検索を行うことで，より簡便に再燃・再発を予測する臨床検査の確立を行い，腎機能予後や生命予後の改善に向けた取り組みを行う．最終的には前向き研究にてバイオマーカーの有用性を検討する必要がある．
|
