研究課題
基盤研究(C)
申請者らは脂肪由来間葉系幹細胞(ASC)に着目し血清培養法を開発した。これまでに低血清培養脂肪由来間葉系幹細胞(LASC)が骨髄由来間葉系幹細胞と比較して、強い再生促進作用と免疫抑制作用を有することを見出し、その効果を各種動物実験で実証してきた。しかし、その作用機序には依然不明な点が多い。細胞治療を普及させるためには、動物由来物質の排除つまり無血清培養の開発が必要である。本研究課題は、1.飢餓状態で亢進するオートファジーとLASC の免疫抑制作用との関連を明らかにすること、2.LASC と免疫細胞との間の情報伝達機構を明らかにすること、そしてその知見に基づき3.高機能を維持したASC の無血清培養法を開発することを目的とした。まず、オートファジー(自食作用)に着目して検討を行った。オートファジーは飢餓状態で亢進する現象で、細胞内浄化作用・老化抑制などに作用する。LASCではHASCと比較してオートファジーが亢進していることを確認した。続いて、LASCのオートファジーをさらに亢進させる方法を模索した。低血糖培養液使用、あるいはmTOR阻害薬であるラパマイシンを用いてLASCに刺激を与えたが、オートファジーは有意に変化しなかった。さらに、HGFをはじめとする成長因子も変化しなかった。そこで、低血清培養の後に無血清培養を行ったところ、HGFの分泌が亢進していた。免疫抑制能に関しては、現在こうして得られたLASCを中心に、従来のLASC、HASCとの比較を進めている。さらに、その違いにおける分子機序を明らかにするために、蛋白アレイを用いた網羅的解析も進めている。
3: やや遅れている
ラパマイシンにより、高機能化LASCが作成させるという仮説を持って、本研究を開始したが、当初予想された結果は得られず、そのことを確認するための実験に多くの時間を要した。
ラパマイシン刺激はあきらめ、LASCを一旦無血清にして培養する新しい手法の検討を進める。高機能化LASCが得られたら、成長因子分泌能や免疫抑制能について、従来のLASCやHASCあるいは骨髄由来MSCと比較する予定である。
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