研究課題
単離糸球体をコラーゲナーゼ処理し、セルソーターを用いて蛍光標識ポドサイト分画と非ポドサイト分画に分離し、total RNAを抽出した。1匹のマウスから十分量のサンプルが得られ、ポドサイト分画ではポドサイトマーカーpodocinの遺伝子発現が濃縮されている一方、非ポドサイト分画ではメサンギウムマーカーIgfbp5、内皮マーカーendomucinの遺伝子発現が濃縮されており、正確な細胞分離ができていることが確認された。糖尿病マウス、高齢マウスではポドサイトの脆弱性のためか、ポドサイトの分離効率が悪く、十分量の細胞を分取することはやや困難であった。whole kidneyよりも糸球体での発現レベルが高く、2種類の糖尿病性腎症のモデルの糸球体にて共通して発現減少する分子として分泌蛋白Aに着目した。Aの発現はポドサイト特異的で、A受容体も糸球体に豊富に発現していた。Aの機能についてはほとんど報告がないが、培養メサンギウム細胞にはA受容体が発現し、Aをアデノウイルスを用いて過剰発現させると細胞増殖が抑制され、正常糸球体においてAはメサンギウム細胞の数を一定に保つ役割を果たしている可能性、病態時のAの発現低下はメサンギウム細胞増殖の一つの原因となる可能性が考えられた。
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