研究課題
基盤研究(C)
平成25年度は1型糖尿病モデルであるストレプトゾトシン誘発糖尿病マウスを用いて、メタロチオネインの糖尿病性腎症の進展への影響を検討した。糖尿病誘発後12週の時点で糖尿病を誘発したメタロチオネインノックアウトマウスでは糖尿病野生型マウスに比べて尿中アルブミン排泄量の有意な増加を認めた。また組織学的検討では、メタロチオネインノックアウトマウスの腎糸球体の肥大や糸球体内マトリックスの蓄積、さらに間質の線維化といった組織学的変化の増悪を認めた。さらに腎症に対する影響として、従来から検討してきたアルブミン尿、腎機能、組織学的検討など古典的な評価に加えて、慢性炎症の指標である腎組織内のマクロファージの浸潤、炎症性サイトカインのmRNA定量、接着分子・ケモカインの発現の検討を行った。メタロチオネインノックアウトマウスの腎組織ではコントロールマウスと比較し、浸潤マクロファージの増加、IV型コラーゲンの増加、MCP-1・オステオポンチンの遺伝子発現の増加を認めた。また酸化ストレスの指標としてDHE染色を行ったところ、腎皮質での染色強度の亢進を認めた。これらの結果より、糖尿病性腎症においてメタロチオネインが炎症や酸化ストレスを抑制すること、またアルブミン尿や腎組織の増悪に対し保護的に働いていることが示唆された。
2: おおむね順調に進展している
当初予定した研究計画をおおむね行っている。
今後は培養近位尿細管上皮細胞あるいは糸球体上皮細胞を用いて、メタロチオネインの高糖濃度による酸化ストレスに対する効果を検討する。
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