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2015 年度 実績報告書

糖尿病性腎症の新しい治療標的としてのメタロチオネインの分子機構の解明と臨床応用

研究課題

研究課題/領域番号 25461223
研究機関岡山大学

研究代表者

小川 大輔  岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (70535195)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード糖尿病性腎症 / 酸化ストレス
研究実績の概要

これまでに、糸球体上皮細胞でのメタロチオネインの特異過剰発現により糖尿病による糸球体上皮細胞の障害・細胞死が改善するとの報告がある。また、以前に我々は糖尿病ラットの近位尿細管上皮細胞でメタロチオネインの発現が増強することを報告しているが、メタロチオネイン発現の抑制により糖尿病による酸化ストレス・糖尿病性腎症が増悪するかは依然として不明であった。そこで我々は、メタロチオネイン抑制により抗酸化作用が抑制され糖尿病性腎症が悪化すると仮説を立て、メタロチオネインノックアウトマウスやメタロチオネインノックダウンマウス培養近位尿細管上皮細胞(mProx24)を用いてメタロチオネインの糖尿病における酸化ストレスや炎症、糖尿病性腎症における役割を検討した。ワイルドタイプマウスの糖尿病群と比較してメタロチオネインノックアウトマウスの糖尿病群では活性酸素及び炎症性サイトカインの発現が増強された。また、腎臓間質へのマクロファージ浸潤及び腎尿細管間質の線維化が増加した。さらに、電子顕微鏡にて近位尿細管上皮細胞の異常なミトコンドリアの形態を明らかにした。mProx24細胞の高糖濃度条件下では、メタロチオネイン発現抑制群で炎症関連遺伝子が増加した。この研究の結果により、メタロチオネイン欠損により高血糖による酸化ストレスと腎臓の炎症が促進されることを明らかにした。この研究の結果は、メタロチオネインは抗酸化蛋白質として、腎臓では糖尿病による酸化ストレスから主に尿細管細胞を保護する上で重要な役割を果たしていることを示している。 したがって、腎臓の近位尿細管上皮細胞におけるメタロチオネインは糖尿病性腎症の治療標的となる可能性があることが示唆された。糖尿病などの酸化ストレスが増加する環境で、メタロチオネインは抗酸化作用により近位尿細管の炎症・線維化を保護するという役割が明らかになった。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2015

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件)

  • [雑誌論文] Identification of circulating miR-101, miR-375 and miR-802 as biomarkers for type 2 diabetes.2015

    • 著者名/発表者名
      Higuchi C, Nakatsuka A, Eguchi J, Teshigawara S, Kanzaki M, Katayama A, Yamaguchi S, Takahashi N, Murakami K, Ogawa D, Sasaki S, Makino H, Wada J.
    • 雑誌名

      Metabolism

      巻: 64 ページ: 489-97

    • DOI

      10.1016/j.metabol.2014.12.003.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Translocase of inner mitochondrial membrane 44 alters the mitochondrial fusion and fission dynamics and protects from type 2 diabetes.2015

    • 著者名/発表者名
      Wang Y, Katayama A, Terami T, Han X, Nunoue T, Zhang D, Teshigawara S, Eguchi J, Nakatsuka A, Murakami K, Ogawa D, Furuta Y, Makino H, Wada J.
    • 雑誌名

      Metabolism

      巻: 64 ページ: 677-88

    • DOI

      10.1016/j.metabol.2015.02.004.

    • 査読あり

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公開日: 2017-01-06  

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