本研究において、これまでに、動物モデルとしてstreptozotocin誘発糖尿病マウスとdb/dbマウスを用いて、糸球体内におけるmicroRNAの発現変化を検討して、以下の結果を得た。1)STZ糖尿病マウスではBL6マウスと比較して、糸球体内に発現が増加する9種類のmicroRNAと低下する22種類のmicroRNAが見出された。2)db/dbマウスではdb/mマウスと比較して、糸球体内に発現が増加する19種類のmicroRNAと低下する54種類のmicroRNAが見出された。3)両者に共通して発現が増加するmicroRNAは5種類、低下するmicroRNAは9種類であった。そこで、昨年に引き続いて、上記の検討によって検出したmicroRNAのうち、発現量が多い2種類について、個体数を増やしてRT-PCRで発現変化を検討した。その結果、2種類のmicroRNAは糸球体内皮細胞で発現することを確認した。さらに、培養糸球体内皮細胞に上記microRNAの前駆体をtransfectionすることにより、このmicroRNAの発現増加によってeNOSとSIRT-1の発現が低下し、MCP-1とIV型コラーゲンの発現が増加することが明らかとなった。さらに、SIRT-1のsi-RNAをtransfectionした実験により、microRNAはSIRT-1とは独立した経路でMCP-1の発現を誘導することが示唆された。
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