研究課題/領域番号 |
25461226
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
中谷 公彦 奈良県立医科大学, 医学部, その他 (80398445)
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研究分担者 |
岩野 正之 福井大学, 医学部, 教授 (20275324)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | α-Klotho / fibroblastic protein 1 / CKD |
研究実績の概要 |
本研究は,ポドサイトや尿細管上皮細胞の形質変異に対する可溶型α-Klotho蛋白の病理生理学的意義を解明し,糸球体硬化や腎間質線維化の発症・進展に対する新たな治療法の解明を目指した基礎的知見を集積することを目的に展開した. 【糸球体腎炎モデルマウスでの腎臓の膜型α-Klotho蛋白および血中・尿中分泌型α-Klotho蛋白と腎糸球体FSP1陽性ポドサイト数および間質内FSP1陽性細胞数との関係】 【方法】Balb/cマウスを用いて,アドリアマイシン腎症(ADR腎症)を作成し(n=8),腎組織障害の程度と腎臓での膜型α-Klotho蛋白発現と腎糸球体FSP1陽性ポドサイト数および間質内FSP1陽性細胞数との関係について検討した.【結果】糸球体硬化率とFSP1陽性ポドサイト数とは有意な正の相関関係を示した.一方で,腎間質線維化率と間質内FSP1陽性細胞数とは有意な正の相関関係を,膜型α-Klotho発現量とは有意な負の相関関係を示した.また,間質内FSP1陽性細胞数は膜型α-Klotho発現量の低下の伴い有意に増加していた.腎連続切片を用いた免疫染色法で,膜型α-Klotho発現の低下した尿細管上皮細胞の周辺にFSP1陽性細胞が多く存在する傾向にあり,ヒト腎生検標本を用いた検討と同様であった.そこで,Balb/c klotho+/-(n=8)およびBalb/c klotho+/+(n=8)マウスを作成し,ADR腎症を惹起し,腎障害を病理組織学的検討を行った.糸球体硬化率および腎間質線維化の程度は,wild-typeに比してBalb/c klotho+/-で増悪傾向を示したものの,有意な差ではなかった.また,wild-typeに比してBalb/c klotho+/-マウスで,FSP1陽性ポドサイト数および間質内FSP1陽性細胞数が増加傾向ではあったが,有意な差は得られなかった.Klotho発現量が半減していることが,ADR腎症の増悪に影響をおよぼすことが示唆された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
腎生検を施行しえたCKD症例で,本研究に同意,対象となった症例が予測通りの症例数で,ヒト腎生検標本を用いた検討は十分に行えている.また,CKDの実験腎炎モデルとしてAdriamycin(ADR)腎症を作成し,その解析を終了した.最後に,ループス腎炎モデルマウスであるMRL/lprマウス,MRL/lprマウスより樹立したモノクローナル抗体惹起型ループス腎炎マウスの作成を現在進行中である.
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今後の研究の推進方策 |
現在,α-Klotho遺伝子Hetero-typeマウス(klotho+/-)をSCIDマウスにBackcross交配を現在行っているが,おおよそ8代Backcross交配が終了し,管内増殖型腎炎LNを誘導,経時的に腎病変の発症・進展を病理組織学的に,腎糸球体FSP1陽性ポドサイト数および間質内FSP1陽性細胞数を解析する予定である.
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