透析導入原疾患の第一位を占める糖尿病性腎症は大きな医学的・社会的負担となっている。進行性の病態は、細胞の形質変化を持続させるエピジェネティック異常が原因となって生じることが明らかになってきた。 本研究によって、糖尿病が腎臓にDNAメチル化異常を生じさせるか調べた。糖尿病マウスの腎臓近位尿細管では腎障害の進行に関連のあるアンジオテンシノーゲンやHGF受容体などの遺伝子にDNAメチル化異常が生じて、障害因子の上昇と保護因子の減少の維持に関わると思われた。見出されたエピジェネティック異常の予防とリバースさらに異常を呈する遺伝子、異常の上流下流各段階に対する治療が腎症進行に対して有効であると考えられる。
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