研究課題/領域番号 |
25461231
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
本間 康一郎 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (10383762)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ヒトES細胞 / 尿細管上皮細胞 |
研究実績の概要 |
ヒトES/iPS細胞から尿細管細胞への分化誘導方法を我々の研究室で独自に作成した尿細管に特異的なマーカーである抗KSPモノクローナル抗体を用いて検討した。腎臓は中胚葉由来臓器であるため第一にヒトES/iPS細胞の中胚葉への誘導を行った。GSK 3β 阻害剤を用い、Wnt/β-cateninのシグナルを活性化することで、中胚葉の初期のマーカーであるBrachuryの発現が上昇し、その後、低血清および複数の増殖因子を含んだ培地で約10日間培養した。その結果、尿細管に特異的なマーカーであるKSPの発現が、RNA、蛋白レベルで上昇することを確認し、独自に作成した抗KSPモノクローナル抗体を用いてFACSを行った。約5%程度のKSP陽性細胞が安定的に分取された。KSP陽性細胞は、Wnt4 シグナルおよびマウス後腎間葉と共培養することで、尿細管様の三次元管腔構造を形成した。このように本研究では、ヒトES/iPS細胞から尿細管細胞としての特性を有する細胞への誘導を行った。しかしながら、分化誘導したKSP陽性細胞が尿細管上皮細胞としての機能を有するか否かの検討が必須であると考え、現在はKSP陽性細胞に対して、PTHアッセイおよびγ-glutamyl transferaseアッセイを行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
我々が分化誘導したKSP陽性細胞が本当に尿細管上皮の機能を有しているかの確認は非常に重要である。この部分は時間と労力がかかる部分であるので、しっかり検討し明らかにすることに時間を要すことは許容されると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
KSP陽性細胞の機能性を明らかにしたところで論文投稿を行う。次のステップとして、実際に脱細胞腎臓を用いた移植研究を行い、尿細管機能を検討する。この時には、我々が確立したヒトES細胞から誘導した内皮細胞も同時に移植し効果を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究消耗品に関して、以前から使用しているものを使用することなどができた。KSP抗体に関してもまだ残りがあったため、新規で作成する必要がなかった。さらに、他の研究グループと消耗品をシェアすることで費用を抑えることができたため残額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
本年度は細胞培養に必要な血清などや分化誘導に必要な抗体など高価な消耗品を購入する必要がある。また、研究成果を国際学会を含め発表予定であり、旅費費用も必要である。
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