研究課題/領域番号 |
25461234
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
本島 英 東海大学, 医学部, 講師 (80468636)
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研究分担者 |
松阪 泰二 東海大学, 医学部, 准教授 (50317749)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 糸球体硬化 / ポドサイト傷害 / Foxc1 / Foxc2 / 転写因子 |
研究実績の概要 |
ポドサイトは高度に分化した細胞であり増殖再生することができないため、一度傷害を受けて失われると補充が効かない。したがってポドサイト傷害は糸球体硬化の進行において中心的な役割を担っており、この細胞を保護することが慢性腎不全の進行を抑制するためのカギである。本研究では、ポドサイトに限局して高発現する転写因子Foxc1とFoxc2に着目し、ポドサイト機能維持の機構と糸球体硬化症の発症および進展機序を明らかにしていく。 腎発生の初期から腎臓でFoxc2を欠失させたマウス(Pax2-Cre;Foxc2 loxP/loxP)は、低い確率でしか出生せず、生まれてもすぐに亡くなってしまった。しかし、このマウスでは新生仔の腎臓が低形成となっており、尿細管の伸長が遅れていることがその原因であると推察された。また、ボーマンのうの拡張を伴ういわゆるのう胞糸球体が散見された。以上の結果を論文化した。 生後8週になってからタモキシフェンの投与によってCre活性を誘導し、Foxc1とFoxc2を欠失させたマウス(Rosa26-CreERT2; Foxc1 loxP/loxP; Foxc2 loxP/loxP)では、タモキシフェン投与後4週で明らかな尿タンパクが認められ、8週では糸球体硬化が認められる個体も散見された。タンパクによる尿円柱や過剰な再吸収によるとみられる尿細管のProtein dropletsが認められ、ポドサイト傷害による大量の尿タンパクが発生したことが確認された。また、ポドサイト傷害の程度がFoxc転写因子の濃度に依存することと、ポドサイトの機能維持にはFoxc2がより重要であることも確認された。 ポドサイトでFoxc1とFoxc2を欠失させたマウス(Nephrin-Cre; Foxc1 loxP/loxP; Foxc2 loxP/loxP)でも同様なポドサイト傷害が確認されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していたマウスの作成は終了し、実験や解析に利用可能となっている。
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今後の研究の推進方策 |
ポドサイトでFoxc1とFoxc2を欠失させたマウス(Nephrin-Cre; Foxc1 loxP/loxP; Foxc2 loxP/loxP)における腎病変の進行過程をより詳細に検討する。Foxc1とFoxc2の欠失を誘導可能なマウス(Rosa26-CreERT2; Foxc1 loxP/loxP; Foxc2 loxP/loxP)から単離した糸球体のRNAを抽出し、Foxc転写因子によって制御されている因子を同定する。
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次年度使用額が生じた理由 |
マウス糸球体遺伝子発現プロファイルを比較するための費用が繰り越しとなり、学内の支援センター利用料が当初の予定より少なかったために残金が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
マウスの飼育を次年度の計画に沿って進めるための費用、マウス糸球体遺伝子発現プロファイルを比較するための費用、ポドサイト培養のための費用および研究成果の発表のための費用として使用する。
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