研究課題/領域番号 |
25461235
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
横尾 隆 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (70301538)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 腎臓再生 / 異種胎仔 |
研究概要 |
これまでラット胎仔の腎臓発生部位にヒト間葉系幹細胞を注入し、再生腎臓を樹立することに成功しているが、これをヒト臨床に応用する為には再生腎臓の大型化が必要となる。それにはヒト腎臓とサイズは近いブタの発生プログラムが必要となる。そこで子宮内のブタ胎仔の腎臓発生部位に的確に細胞を注入するデバイスの開発研究を行っている。現在約40%の確率で注入できるようになっているが、さらに精度をあげるためにナビゲーションシステム内蔵の注入針を開発中である。 また大型化した再生腎臓により腎機能を代替させる為には、いくつ再生腎臓の移植が必要であるか検討する必要がある。これには拒絶反応を無視できる状況下での同種移植が最適と考える。そこでクローンブタを作成し、胎仔から母ブタへの移植(自家移植となる)により再生腎臓がどの程度大きくなるかを確認した。この結果ヒト腎臓の20%の体積にあたる30gの再生腎臓を得ること成功した。従って免疫制御ができれば一つの再生腎臓でも透析回避には十分な腎機能の回復が可能であることが示された。(投稿中) さらに我々はこれまで、ボランティアから提供されたヒト骨髄由来間葉系幹細胞から再生腎臓樹立を行ってきた。しかし透析患者の腎臓を再生する目的には、長期間尿毒症物質にさらされた透析患者の間葉系幹細胞が、健常な再生機能を保持できているか確認する必要がある。そこでまず、腎不全ラットとコントロールラットで分化能に有意差がないことを確認した。次に、実際にヒトサンプルを用いて検証を開始した。倫理委員会で承認を受けた後、現在、透析患者と健常患者の脂肪より間葉系幹細胞を樹立して分可能の比較実験を行っている。予備実験では、透析患者由来の幹細胞は分化能が一部劣っていることが示され、現在症例数を増やして検証中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ブタを用いた実験系のため、交配がうまくいかないと研究がストップしてしまうが、現在までに大きな遅れはなく、比較的順調に予定をこなせている。
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今後の研究の推進方策 |
これまでのラットを用いた研究で、尿管芽を残した状態で後腎を大網に移植すると、尿管も発育を継続するが、腎実質の発生と尿管発生の速度が大網内では一致しない(未発表データ)。このため腎臓が尿生成を開始しても尿排泄が滞り水腎症となり腎実質が障害を受けて腎機能が廃絶してしまう。したがって、尿管発育が完了するまで尿を流出する経路を作る必要がある。また我々のこれまでの研究で、尿管は発生時に腎杯部にペースメーカー細胞が存在し、これにより持続的に尿が陰圧で引かれることにより腎臓実質の発育が促進されることが明らかとなっている(未発表データ)。そこで体内埋め込み型持続吸引カテーテルを開発し、尿流出が始まる時期に尿管に挿入、元の尿管と吻合ができる時期まで発育を誘導させるシステムを構築する。デバイス開発における検証は、ラットを用いた評価システムで行う。カテーテルの挿入には、小動物用小型ドップラーエコーを用いる。 このエコーを用いることにより、発育中の尿管の部位が特定可能で、さらに有効な腎機能を示唆させる血流が確認できる。このエコーガイド下に尿管にカテーテルを挿入し体内で尿を低圧で持続吸引し、再生腎臓発育を促す。すでに体内埋め込み型ポンプを中空糸膜に接続し高浸透圧溶液で尿を誘導するデバイスのプロトタイプを開発しており、この有効性と設置時期、位置の適正化を検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
初年度(25年度)と次年度(26年度)に共通して使用するLuc基質を26年度に向けて買い足す必要があったが、端数では不足するため、26年度に改めて購入することとしました。 25年度に一度購入していたluc基質を26年度に不足分を買い足します。
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