研究課題
基盤研究(C)
金沢医科大学において腎移植および腎生検が実施された移植腎症疾患コホートの臨床病理所見について,初年度プロファイルを作成し,後向き調査成績において腎機能ならびに生命予後に関する因子解析の実施および前向き調査による1)経時的移植腎生検の免疫病理学的検討による間質線維化因子の評価,2)血清・尿中機能分子の経時的解析による慢性移植腎症関連分子の特定,3)腎移植時の免疫モニタリングとその評価を目的とした.平成25年度計画に沿って移植腎症(132例)を対象とする疾患コホートの腎生検時臨床病理所見を中心としたプロファイルを作成し,後向き調査による予後調査成績ならびに測定指標を用いた多変量解析を実施し,低分子アデポネクチンの経時的増加による短期的腎機能に対する影響ならびに抗C型肝炎ウイルス(HCV)抗体陽性例の長期生着後の生命予後に対する独立した危険因子であることが確認された.さらに,前向き調査を継続しているこのコホート例の移植腎生検病理ならびに免疫組織学的検討による糸球体硬化と間質線維化について,特異的抗体を用いた免疫組織化学法によりその分子を同定し,画像解析装置を用いたスコア化により糸球体および間質病変では,異なる膠原繊維の集積(それぞれVI型とIII型)が確認された.さらに,この移植腎症における抗HLAクラスIおよびクラスII抗体のスクリーニングと抗体陽性例における腎組織所見を比較した.腎移植時の免疫モニタリングとその評価については,前向き疾患コホートとして作成した腎移植症例における末梢血細胞を用いたモニタリングを行い,移植早期の末梢血リンパ球/NK/マクロファージにおいてTh1, Th2, Th17, Treg(Foxp3+)サブセットおよびnon classical HLA分子の早期の変動を確認した.
2: おおむね順調に進展している
初年度に予定したコホート作成を終了し,当初の目的とした予後因子のスクリーニングと目標とする分子の移植腎障害への関与を確認できた.
網羅的検索には限界があり,平成26年度以後は小分子アデポネクチンおよびnon-classical HLA分子と糸球体硬化および間質線維化に注目して計画を進める.
すべて 2014 2013
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (3件)
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