研究課題/領域番号 |
25461239
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
深水 圭 久留米大学, 医学部, 准教授 (80309781)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 糖尿病性腎症 / 母体環境 / アディポネクチン / 蛋白尿 |
研究概要 |
本年度は母体への高脂肪・高フルクトース負荷が、仔の腎疾患発症に関与するかを明らかにすることを目的として実験を試みた。12週令の雌SDラットに標準食(NF)、高脂肪食・高フルクトース水(HFF)を6週間投与しNF雄ラットと交配した。離乳までの間、両群の食事は継続し、仔の離乳時(4週令)にNFに切り替え、雄仔16週令でsacrificeした。 結果;HFF負荷により母ラットの体重・血糖値・平均血圧・LDLcは上昇し、HDLcは低下した。HFFラット出生直後の仔はNFラットの仔と比較し低体重であったが8週令には体重増加に転じた。HFF出生群では出生直後には血清アディポネクチン(Adi)はすでに低下しており、16週令まで持続した。4週令の時点で血清脂質過酸化は上昇し、8週令には尿アルブミン(Alb)排泄が増加しはじめ、16週令まで持続した。16週令において、HFF出生仔はインスリン抵抗性高値、血圧上昇、CCr低下、メサンギウム基質増加、腎組織中TGFβ発現亢進を認め、血清Adiが低下するほど尿Alb排泄は増加していた。 結論;母体に対する高脂肪食・フルクトース負荷は、仔のインスリン抵抗性高値、Adi低下、酸化ストレス亢進を介し、将来の腎障害を惹起する可能が示唆される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今回は、母体環境の変化により仔に腎障害を生じることが判明した。このことは、予想された結果であり、仮説通りの結果であった。今後は母ラットに治療介入を行うことで、仔の腎障害の進展が改善するか否かを検討していく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
母ラットから生まれた仔ラットのAGEsを測定し、上昇していることを確認のうえAGEs形成阻害剤の投与を試みる。さらにAGEs-aptamerのスクリーニングは終了しており、ある程度の候補を絞れている。今後はAGEs-aptamerの合成が進めば母ラットに投与することにより仔の腎障害が改善するか否かを判断できる。また、腎臓におけるヒストンのメチル化をチェックすることによりエピジェネティクスが仔の腎障害に与える影響を観察する予定である。
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