研究課題
今回、我々は母体環境が腎障害にいかに影響するかについて、アディポネクチンに焦点を置き検討した。母体への高脂肪食・高フルクトース負荷は、仔の出生時体重・腎重量を低下させ、16週令では増加傾向を示した。その仔は血圧上昇及び耐糖能異常、糸球体濾過量の低下を認めた。母体への高脂肪食・高フルクトース負荷は、その仔において出生直後より血清アディポネクチンを著明に低下させ16週令まで低値は持続した。一方、その仔の血清MDAは4週令より有意に増加し、アディポネクチンと逆相関した。高脂肪食・高フルクトース負荷された母親より出生した仔の尿中アルブミン排泄は8週令より有意に増加し、その増加は16週まで持続し、血清アディポネクチンと逆相関した。高脂肪食・高フルクトース負荷された母親より出生した仔におけるポドシン発現量は有意に低下し、腎TGFβ発現及び糸球体の細胞外基質は増加した。本研究では、母体への高脂肪食・高フルクトース負荷は、仔の出生時体重・腎重量を低下させ、血清アディポネクチン低下とともにアルブミン尿が出現した。アルブミン尿はCKDのリスク因子であり、妊娠・授乳期の母体環境に介入し子供のアルブミン尿のアルブミン尿増加を抑制することは将来のCKD発症進展や透析導入数の抑制に有効である。今後、妊娠中において母体へのアディポネクチンを上昇させることが、のちの仔の腎障害改善に寄与する新たな手法となる可能性がある。
2: おおむね順調に進展している
妊娠動物モデルも順調にできており、その仔の腎障害を惹起できているため、このモデルを使用し、さらに研究を発展させうることができると考えているため。
今後は母ラットのアディポネクチンを上昇させることが、仔の腎障害を改善しうるかについて、検討していく必要がある。そのために、母ラットにアディポネクチンを投与する系を作成し、仔に与える影響についてを検討したい。
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