研究課題
アンジオテンシンII(AngII)は血管収縮作用に加えて強力な腎尿細管Na再吸収亢進作用を有し,高血圧発症,慢性腎臓病進行に大きく関与している。最近,AngIIの血圧上昇作用には近位尿細管(PT)でのNa輸送亢進が不可欠であることが示された。一方,一酸化窒素(NO)やエンドテリン(ET)はNa利尿作用を有し,AngIIの尿細管作用と拮抗する。ここで興味深いことに,筆者らはAngIIが単離したヒトPTにおいて他種と違い一相性の濃度依存性刺激作用のみを有することを確認した。この詳細な機序と意義について,主にヒトとマウスPTの反応を比較しつつ解析を行った。昨年度に引き続いてPTでの血圧調節物質の調節に関する種差について詳細に検討を行った。蛍光色素DAFによる細胞内NOの量のAngIIによる変化に関し追試を行い,マウスではAngII 10-6Mの添加により細胞内NOは16%増加した。ヒトではAngII 10-8Mにより3.4%,10-6Mにより2.4%の増加を認めた。AngIIのNBCe1作用の種差はNO産生経路には依らないことが推察されたが,産生されるNOの増加量についてはさらに検討の余地があると考えらえた。また今年度はAngIIのPT作用における細胞内Caの意義について検討を行った。細胞内Caのキレート剤(BAPTA/AM)をloadingしたヒトPTではAngIIのNBCe1増強作用がほぼ消失した。またCa-ionophoreであるionomycinはヒトPTのNBCe1活性を増強したが、マウスPTのNBCe1活性は変化させなかった。この結果は以前当研究室にてウサギPTの検討を行い得られた結果(Am J Physiol 1996;271:F1068)と同等であった。AngIIのPT作用は,ヒトでは細胞内Caに依存するが,マウスでは依存しないことが考えられた。
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