研究課題/領域番号 |
25461242
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
関 常司 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (30206619)
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研究分担者 |
堀田 晶子 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (20534895)
山田 秀臣 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (60396752)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | CLC5 / Dent病 |
研究概要 |
Dent病はCl輸送体CLC5またはOCRL1遺伝子の変異により小分子蛋白尿、くる病、進行性の腎障害などの近位尿細管機能障害を呈するが、その発症機序には不明の点が多い。特に、2Cl/H交換輸送体であるCLC5の変異がエンドサイトーシス異常を引き起こすメカニズムは解決されていない。今回典型的なDent病症例からCLC5のゲーティング部位の変異E211Qが初めて同定されたので、人為的変異体E211Aと比較しつつ機能解析を行った。アフリカツメカエル卵母細胞発現系で野生型CLC5は陽性電位域でのみ強い外向き整流性を示す電流を発現させた。これに対して、E211AおよびE211Q変異体は全電位域に渡り直線的な電流を呈した。また細胞外溶液のpHを低下させると野生型CLC5の電流は有意に抑制されたが、E211AおよびE211Q電流は変化しなかった。さらにpH感受性微小電極を用いて細胞膜近傍のpH測定実験を行ったところ、野生型CLC5を発現した卵母細胞では脱分極刺激パルスにより細胞外局所pHが大きく低下した。しかし、E211AおよびE211Q変異体を発現した卵母細胞では同様のpH変化を全く認めなかった。一方、HEK293培養細胞に野生型および変異CLC5を発現させ細胞内酸負荷からのNa非依存性の細胞内pH回復過程を比較検討した。全てのCLC5コンストラクトの遺伝子導入はH-ATPase活性を増強したが、その増強作用は野生型が最大であった。以上よりE211Q変異はCLC5のCl/H交換機能を喪失させることが確認され、その結果近位尿細管H-ATPaseの最大活性の発現が障害されることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
CLC5のゲーティング部位の変異E211QがCLC5のCl/H交換機能を喪失させることが確認でき、またH-ATPaseに対する作用もある程度明らかにできたため。達成度は良好と考える。
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今後の研究の推進方策 |
野生型および変異型CLC5遺伝子によるH-ATPase活性増強のメカニズムについて、蛋白発現や細胞内局在の変化などが関与するか、検討する予定である。また野生型および変異型CLC5によるエンドゾーム内pHの変化についても詳細に検討し、E211Q変異によるDent病発症機序を明らかにする予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
物品の経費が予想より少なく済んだため 物品および旅費、その他の経費に使用する予定
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