研究課題
Cl輸送体CLC5の変異は小分子蛋白尿、くる病、進行性の腎障害などの近位尿細管機能障害を特徴とするDent病を生じるが、その発症機序には不明の点が多い。特に、2Cl/H交換輸送体であるCLC5の変異によりエンドサイトーシス異常を引き起こすメカニズム及びH-ATPaseとの相互作用の生理的意義などは解決されていない。CLC5のゲーティング部位の変異E211Qが初めて典型的なDent病症例から同定されたので、人為的変異体E211Aと比較しつつ機能解析を行った。アフリカツメカエル卵母細胞発現系で野生型CLC5は陽性電位域でのみ強い外向き整流性を示す電流を発現させた。これに対して、E211AおよびE211Q変異体は全電位域に渡り直線的な電流を呈した。まさらにpH感受性微小電極を用いて細胞膜近傍のpH測定実験を行ったところ、E211Q変異体はE211Aと同様にCl/H交換輸送体ではなく、Clチャネルとして機能することが確認された。一方、HEK293培養細胞では、全てのCLC5コンストラクトの遺伝子導入はH-ATPase活性を増強したが、その増強作用は野生型が最大であった。またマウスから単離し培養した近位尿細管にCLC5に対するsiRNAを導入したところ、H-ATPase活性は著明に抑制された。以上よりE211Q変異はCLC5のCl/H交換機能を喪失させることが確認され、その結果近位尿細管エンドソーム及び細胞膜上のH-ATPaseの最大活性の発現が障害されることが示唆された。
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