研究課題/領域番号 |
25461244
|
研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
武田 仁勇 金沢大学, 大学病院, 特任教授 (90242544)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | アンジオテンシノーゲン / DNAメチル化 / 高食塩食 / 心血管系 / 食塩感受性高血圧 |
研究実績の概要 |
食塩感受性高血圧 (SSH)では高食塩食により心血管系や腎臓におけるアンジオテンシノーゲンの遺伝子発現が亢進し、それにより血圧の上昇、心筋肥大、腎機能障害が引き起こされる。SSHラットを用いて高食塩食が組織アンジオテンシノーゲン遺伝子のメチル化に及ぼす影響について検討した。アルドステロンブロッカーであるエプレレノンの影響も検討した。またヒト肥大心におけるアンジオテンシノーゲン遺伝子のメチル化に関しても検討した。SSHを正食塩食、高食塩食で8週間飼育し、心臓、腎臓におけるアンジオテンシノーゲン遺伝子発現をreal time PCR法、遺伝子上流のメチル化をパイロシークエンス法で検討した。高食塩食により血圧の有意な上昇、心肥大、アルブミン尿の増加が観察され、エプレレノン投与により改善した。DNAのメチル化は高食塩食により低メチル化状態になり、エプレレノン投与により高メチル化状態になった。ヒト肥大心筋においてアンジオテンシノーゲン遺伝子は低メチル化状態を示した。これらのことから高食塩食は組織におけるアンジオテンシノーゲン遺伝子にエピジェネティックに作用し発現調節をおこなっていることが明らかになった。また薬剤もDNAのメチル化に一部関与していることが明らかになった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
心血管系におけるアンジオテンシノーゲン遺伝子発現に及ぼすメチル化の関与が明らかになり、また高食塩食がDNAメチル化に影響し、アンジオテンシノーゲン遺伝子発現をコントロールし、血圧上昇や心筋肥大に関与していることが明らかになった。
|
今後の研究の推進方策 |
内臓脂肪からのアンジオテンシノーゲン産生が高血圧発症に関与しているか検討し、メチル化との関係を明らかにする。
|
次年度使用額が生じた理由 |
ラットの高食塩餌が想定以下であった。次年度は今年度の摂取量をもとに計算し使用。
|
次年度使用額の使用計画 |
特殊飼料を含めた動物実験費用および遺伝子解析関連消耗品に使用
|