研究課題
基盤研究(C)
慢性腎臓病患者ではいわゆる腎性骨症と呼ばれるさまざまな骨病変を引き起こし、このような状態を包括した概念としてChronic Kidney Disease - Mineral and Bone Disorder (CKD-MBD)という用語が提唱されている。近年、骨代謝回転が低下した低回転骨が多くを占めるようになってきているものの、低回転骨に対しては効果的な治療法が存在せず、その病態解明、治療法の開発は急務である。そこでこの低回転骨の発症進展機序の解明を目指す。これまで低回転骨の発症進展メカニズムとして酸化ストレスが重要であることを報告してきた。そこで、慢性腎臓病患者、糖尿病患者などで亢進している酸化ストレスに注目し、その酸化ストレスと関連の深い細胞周期チェックポイント機構の関与について動物モデルを用いて解析を行うこととした。具体的には、抗酸化ストレス作用の効果を解明する目的で、まずは現在すでに脂質代謝異常の治療薬として実地臨床で使用されているスタチン製剤に注目して検討をおこなっている。スタチン製剤は既報にあるように、骨芽細胞分化促進因子であるbone morphogenetic protein 2 (BMP-2) のプロモーター活性を亢進することで新生骨形成を促進するのみならず、近年、抗酸化作用をもつことが示唆されており、糖尿病状態における酸化ストレス亢進状態を緩和することで、糖尿病性骨代謝異常を改善できる可能性があると予想される。
3: やや遅れている
平成25年に神戸大学から徳島大学への異動があり、研究体制の整備に時間がかかったためその分研究計画にやや遅れが生じている。
ストレプトゾトシン投与により糖尿病を誘発し、マウスを1)非糖尿病+スタチン非投与、2)非糖尿病+スタチン投与 、3)糖尿病+スタチン非投与、 4)糖尿病+スタチン投与の4群にわけてサンプルを採取し、、糖尿病性低回転骨の進展増悪に対してスタチン製剤および抗酸化ストレス作用が及ぼす影響を解析していく。
平成25年度に神戸大学から徳島大学へ異動となり、研究体制の整備を行うのに時間を要し当初予定していた研究計画にやや遅れを生じたため、本来、平成25年度に使用予定であった分を平成26年度以降に使用することになった。研究計画にやや遅れが生じている分を当初の予定期間より順次少し後ろにずらして研究を遂行していく。
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J Med Invest.
巻: 61(1.2) ページ: 162-70