研究課題
1)血管壁平滑筋特異的ATP2B1ホモKOマウス 血管平滑筋特異的なATP2B1の発現をノックアウトしたマウスに対しては、血圧が上昇する事を既に報告している。そこで、ATP2B1(PMCA1)のKOが異なる種類の降圧薬に対して反応性が異なる可能性がある。各種降圧薬の腹腔内投与の効果を、全てテレメトリー法による直接血圧測定で検討している。平成27年度に論文化を目指して検討をすすめている。2)全身ATP2B1ヘテロKOマウス 全身のヘテロKOマウスにおいても血圧が上昇する事を2014年にJournal of Hypertensionに報告した。そのメカニズムにNOが関与する事が明らかとなり、ATP2B1と一酸化窒素との関連性に興味が持たれている。一方、本遺伝子がCaの調節に関与しているため、各種ホルモンに加えて骨標本を含めた検討をすすめている。こちらも論文化をすすめている。3)内皮特異的ATP2B1KOマウス 本マウスはホモKOでは胎生致死である事が明らかとなっている。このためヘテロKOマウスを用いているが、血圧等に大きな変動を認めないようである。4)尿細管特異的ATP2B1ホモKOマウス 本マウスは主に遠位から集合管におけるATP2B1の役割を検討するために作成した。尿細管におけるNa再吸収に対しては効果を示さず血圧に影響を与えなかった。一方、Ca利尿、水利尿と関連している事が明らかとなったため、現在、論文を作成して投稿中である。
1: 当初の計画以上に進展している
研究実績の概要でも記載した様に、ATP2B1が血管壁のみならず、全身で発現を低減させた場合には、NOを介して血圧の調節にも関連している事を明らかにした。さらに、全身のCa代謝、骨代謝に関連する事も明らかにして、論文化をすすめている。また、尿細管特異的なKOでは、血圧への影響よりもCa利尿や水利尿に関連する事を明らかにし、論文の投稿中である。さらに、ATP2B1の機能低下のみならず、機能亢進の意義をあきらかにすることにより、より深くATP2B1の役割が明らかになると思われる。すでに、過剰発現マウスの作成に着手しており、さらなる研究の展開が期待されている。
ヒトGWASから高血圧との関連性が発見されたATP2B1について、遺伝子改変動物を用いて明らかにして来た。今後も血管平滑筋特異的、全身へテロ、尿細管特異的ATP2B1KOマウスを用いて、血圧との関連を明らかにして行く。まず、Na負荷に対する血圧の反応性や各臓器の変化を確認して行く。さらに各種薬剤に対する特異的な反応の有無を確認していく。また、ATP2B1の発現を増強させたトランスジェニックマウスの作成をすすめて、ATP2B1の血圧に与える影響を明らかにしていく。
欧州における特許が認められました。欧州出願番号09712832.6 高血圧感受性遺伝子群の同定
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (8件) (うち招待講演 1件)
Journal of Hypertension
巻: 32 ページ: 1415-1423
10.1097/HJH.0000000000000206