研究課題/領域番号 |
25461251
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
大矢 昌樹 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (90550301)
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研究分担者 |
重松 隆 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (30187348)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | マグネシウム / PTH / FGF23 |
研究実績の概要 |
基礎研究 ラット血管培養モデルを用い、高リン培養液にて血管石灰化が促進されるモデルを用い、SEM/EDXを用いることで、血管石灰化部分の成分分析を行った。それらの研究は論文掲載予定である。さらにマグネシウムが高リン負荷による血管石灰化を抑制するのか、その抑制効果は、マグネシウム濃度に依存するのかを検討した。血管組織の高リン負荷による血管石灰化は、マグネシウムの添加によって明らかに抑制されることがわかった。SEM/EDXによる分析の結果、高リン負荷による石灰化部にリン酸、カルシウム、マグネシウムの分布が一致しており、マグネシウムによって石灰化が抑制された血管では、これらの分布が認められなかった。本研究は現在論文執筆中である。 臨床研究 Significance of serum magnesium as an independent correlative factor on the parathyroid hormone level in uremic patients. Ohya M, Negi S, Sakaguchi T et al. J Clin Endocrinol Metab. 99(10):3873-8, 2014 2006年1月から2011年12月までに透析が開始されたCKD患者2441名中、除外項目に該当しない1231名を対象とし、尿毒症状態にある透析開始直前の血清Mgと血清PTH濃度およびその他の臨床的バラメーターおよび薬剤との関連を検討した。透析直前の尿毒症患者では血清Mg濃度は上昇する傾向がある。血清Mg濃度はiPTH濃度と有意な関連性が認められ、PTH調整に関連する他の因子とは独立してその関連性が認められた。このことは、Mgが尿毒症状態でPTHを調整する因子の一つである可能性を示唆していると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
臨床研究に関してはマグネシウムとPTHというCKD-MBDの分野で新たな役割が注目されるマグネシウムという因子に関して解析、発表をおこなった。基礎研究では、マグネシウムが高リン負荷による血管石灰化を抑制するのか、その抑制効果は、マグネシウム濃度に依存するのかを検討し、血管組織培養モデルにおいても、高リン負荷による血管石灰化は、マグネシウムの添加によって抑制されることが明らかになり、その中で、SEM/EDXによる画像的な分析も行った点では、順調に経過していると考えられるが、血管培養モデルを用いて次のステップとしてのカルシウム濃度とリン濃度の変化によるカルシウムーリン積による血管石灰化の程度を確認し、それに対するマグネシウムによる石灰化抑制効果を明らかにし、(カルシウム×リン)÷マグネシウムの関係の検討が、行えておらず、その他にも高リン負荷+FGF23添加による血管石灰化をマグネシウムによって抑制できるのかを明らかにし、その際のERK1/2シグナル経路の活性化の有無を検討する課題も残っており、基礎研究においての課題がおくれているのが要因と考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
カルシウム濃度とリン濃度の変化によるカルシウムーリン積による血管石灰化の程度を確認し、それに対するマグネシウムによる石灰化抑制効果を明らかにし、(カルシウム×リン)÷マグネシウムの関係を検討を今年度中に行っていく。また、骨由来リン利尿因子(FGF23)と関係として血管培養モデルを用い、高リン負荷+FGF23添加による血管石灰化の促進をマグネシウムによって抑制できるのかを明らかにする予定である。また、今年度は現在までの実験をまとめて、成果として論文掲載を行っていく予定である。
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