研究課題
高血圧は、脳卒中や心血管疾患の最大のリスクファクターである。高血圧は環境因子と遺伝因子がその発症に関与することが知られているがそのうち遺伝因子についてはほとんどが不明のままである。我々は、MRの作用を制御する新規転写共役因子の同定を質量分析計を用いて世界で初めて試み、MR安定発現腎由来細胞を樹立し、核抽出液から抗体精製にてMR相互作用因子を取得し、LC-MS/MSを用いて網羅的に同定した。そn結果、機能未知因子CASZ1を同定した。CASZ1は、最近のゲノムワイドの高血圧関連SNP探索研究の結果から、高血圧発症関連因子であることが示され(Nature Genetics, 2011)、さらに機能解析を進めたところ、CASZ1は遠位尿細管細胞の核内でMRと共発現し、ヒストン脱アセチル化を促進してMR標的遺伝子発現を抑制することで血圧調節に関わる蛋白であることを明らかとした。そこで生体での機能を証明するために、作成したCASZ1の尿細管特異的ノックアウトマウスの表現型解析を行い、血圧、内分泌ホルモン、心血管組織リモデリングなどにつき検討した。具体的には26週齢のオスのCASZ1の尿細管特異的ノックアウトマウスと対照群のマウスにDOCA+salt負荷を2週間与えた。その間、1週間おきに血圧測定と蓄尿による電解質、アルドステロンなどのパラメータ解析を行った。2週間投与を終えたところで採血、解剖を行い、血清電解質やアルドステロン値、腎臓でのMR標的遺伝子でナトリウム再吸収に関わるENaCやSGK1などの遺伝子の解析や免疫染色による組織障害の有無を確認した。その結果、CASZ1の尿細管特異的ノックアウトマウスではMR作用亢進状態によって高血圧および尿中K排泄の増加をきたすことが確認できた。
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J Clin Endocrinol Metab
巻: 101(1) ページ: 6-9
10.1210/jc.2015-3285
http://www.keio-emn.jp/research/07.html