研究課題/領域番号 |
25461257
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
深川 雅史 東海大学, 医学部, 教授 (00211516)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 血液透析 / 大規模観察研究 / バイオマーカー / 生命予後 |
研究概要 |
この研究は,カルテ調査による介入をともなわない観察研究である.2013年度には,まず後ろ向き研究として,関連施設の維持透析患者2292名(予定2500名)を登録した.患者背景の解析を行ったところ,この東海透析コホートの患者集団が,日本透析医学会のレジストリーによるわが国の透析患者の平均像に近似していることが確認された.さらに,より具体的な解析として,リン吸着薬の使用と生命予後の関係,低Na血症と総死亡の関係,RAS阻害薬使用と生命予後の関係,血糖管理状況と生命予後の関連性の解析を行った. また,前向き研究として,657名の患者の登録行ない,観察開始時の患者背景のデータ収集と解析を行った.予定症例数は800例であったが,あらかじめ20%の脱落,データ欠損を想定しており,問題のない範囲と考えられる.さらにこれらの患者について,観察開始時に採血を行い,一部特殊検査を行った.今後イベントの記録をすすめつつ,検査データも含めた患者背景の検討を行う.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までに以下の解析をまとめ,国内外の学会にて発表を行った.目下,英文論文化を進めている. (1) 非カルシウム含有リン吸着薬である炭酸ランタンの使用によって生命予後が改善する可能性が示唆された. (2) 透析患者において低Na血症が総死亡の予測因子になることが示された. (3) 透析患者では,HbA1cで評価される血糖管理状況と生命予後に関連性が乏しいことが示された. (4) RAS阻害薬が生命予後を改善する可能性が示唆されたが,患者背景で調整すると統計的に有意ではなかった.
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今後の研究の推進方策 |
後ろ向き研究については,特定の薬剤使用の有無と予後との関係,ルーチン検査値の異常と予後の関係について複数の解析が予定されているので,順次実施する.前向き研究については,特殊検査データも含めた患者背景の整理を行いつつ,イベントの記録を進め,最終解析に備える.また未測定の特殊検査を実施する.
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次年度の研究費の使用計画 |
前向き研究の採血サンプル収集のタイミングにより,予定していた特殊検査の一部が年度内に終了しなかったため,次年度送りとなった. 残った検査を行うためのキット代,消耗品費,解析のためのパソコン費用として使用予定である.
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