研究課題/領域番号 |
25461260
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研究機関 | 明治国際医療大学 |
研究代表者 |
梅田 雅宏 明治国際医療大学, 医学教育研究センター, 教授 (60223608)
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研究分担者 |
田中 忠蔵 明治国際医療大学, 医学教育研究センター, 名誉教授 (80163541)
樋口 敏宏 明治国際医療大学, 医学教育研究センター, 教授 (80218700)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 拡散 / GRF / MRI |
研究実績の概要 |
腎臓の糸球体における濾過量の低下と心疾患との関連が明らかにされ、着目されるようになった。糸球体の濾過量(glomerular filtration rate: GRF)の測定には、一般的にクレアチン・クリアランスやestimated GRF(eGRF)が臨床の現場で利用されている。これらはあくまで推定値であり、直接的にGRFを計測する方法はまだ普及していない。またMRIを用いた方法として、尿排泄される造影剤が腎臓で排泄される過程を定量する手法が動物実験で提案されているものの、造影剤はGRFの低下している患者では腎性全身性線維症の発症を引き起こす可能性があり、適応することができない。そこで、我々は糸球体で濾過される過程で移動する水(プロトン)を拡散強調画像法を利用して計測する方法を考案した。糸球体のボーマン嚢では、血管から濾過された体液が尿となり近位尿細管へ輸送される。血管壁からの体液の濾過には浸透圧などが関係しているが、静水圧もその一つと考えられる。動脈からの圧力で血液がボーマン嚢に流入する際に上昇する血管内外の圧力差が濾過に寄与する可能性がある。ボーマン嚢に流入する血液の拍動パターンと尿の移動速度のパターンを比較することで、濾過の様子を知ることができる。
本年度はマウスを用いた腎臓のADC計測の追加実験を行った。一方、糸球体の血流を評価するためにできるだけ近位にある弓状動脈の血流波形の計測を試みたが、安定して血流パターンを得ることができなかった。さらにヒトの腎臓のADC計測および腎動脈の血流パターン計測のためのシーケンスを確認し、脈拍に同期したADC計測が可能であることが確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は動物実験を中心に実施し、データの整合性を検証した。ヒトの腎臓を対象とした実験はシーケンスのチェックなど基礎的な部分の検討にとどまった。
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今後の研究の推進方策 |
次年度はヒト用のMRI装置を用いた検討を実施し、健常被験者を対象として心拍に同期されたADCを解析することによって、MRIを用いた糸球体の濾過量の評価が可能であるかどうかを検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
おおむね予定通りの予算使用であったが、動物実験を中心としたことから謝金を必要としなかったため、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
追加データの測定および解析に必要な電子部品およびソフトウエアの購入費用や被験者等への謝金として拠出する予定である。
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