研究課題/領域番号 |
25461261
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 大阪医科大学 |
研究代表者 |
星賀 正明 大阪医科大学, 医学部, 准教授 (90309154)
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研究分担者 |
石坂 信和 大阪医科大学, 医学部, 教授 (20270879)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | アポE欠損マウス / アンジオテンシン / メサンギウム増殖 / 高脂血症 / 高血圧 / 生活習慣病 / 腎障害 |
研究概要 |
本研究で用いる高血圧・高脂血症マウスモデルを作成する準備段階として、野生型マウスおよびApoE欠損マウスにアンジオテンシンII投与を4週間継続し、血圧上昇を観察した。背部に浸透圧ポンプを植込み、アンジオテンシンIIを1.44mg/kg/day持続投与することにより、投与開始後3日目から血圧の有意な上昇を認め、4週後のsacrificeまで血圧上昇の持続を認めた。この効果は、野生型およびApoE欠損マウスいずれでも認めた。 高血圧発症モデルを再現性をもって作成しえたので、sacrifice後の腎臓を摘出し、組織学的に検討した。アンジオテンシンII投与により、糸球体において泡沫化細胞の出現とメサンギウム細胞の増殖を認めた。この変化は、野生型マウスよりもApoE欠損マウス群の方が高度であった。しかし、これらの観察はHE染色による非定量的なものであり、定量的評価の方法を現在模索中である。この実験系で、糸球体病変が再現性をもって出現した事を確認し、今後薬剤投与を行っていく予定である。 平行して、循環器内科に入院した患者において、高血圧や高脂血症の程度と腎障害マーカーとの相関を多因子にわたり検討を行った。その中で、線維芽細胞増殖因子(FGF)23が腎機能や高血圧、高脂血症と独立して心肥大などの臓器障害を引き起こすことがわかった。今回の研究テーマである高血圧、高脂血症と腎障害について、臨床データの蓄積を行っており、動物モデルで得られた知見を臨床データで検証する基盤を築くことができたと考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
実験に必要なApoE欠損マウスは遺伝子組換え生物であり、その購入に際して必要な大阪医科大学内の遺伝子組換え生物の第二種使用等および譲受の申請、次いで動物実験計画書の申請を順に行い、全ての許可が得られるまで期間を要した。そのため動物実験に関しては、当初の予定よりおよそ5ヶ月遅れの達成度に留まった。 一方、臨床例においては、高血圧や高脂血症の程度と腎機能および臓器障害との相関を多因子にわたり検討を行う体制作りはほぼ確立された。
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今後の研究の推進方策 |
動物実験の方法は確立し、また平成26年度の実験継続に必要な継続申請はすでに取得済みであり、アポE欠損マウスの持続的な入手が可能な状況である。今後は薬剤投与群(アンジオテンシン受容体拮抗薬vsヒドララジン、およびスタチン群同士)の比較検討を生化学的および組織学的に検討する。動物実験は、3人体制で行い毎月10-20匹の実験が可能な体制であり、今後に必要な60匹の実験は9月頃には全て終了する予定である。生化学的な検討および組織固定から切片作成までは外注する予定であり、実験の進行はスムーズに行えると考える。解析は、動物実験を行った3人がそれぞれ組織染色、画像解析、統計解析を受けもち、分担することにより研究の推進が図れると考える。 一方、循環器入院患者における高血圧や高脂血症の程度と腎機能および臓器障害との相関を多因子にわたり検討を行う体制作りは確立しており、今後症例数を増やしていく方針である。
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次年度の研究費の使用計画 |
予定していたApoE欠損マウスの購入が、許可申請~取得の遅れにより、約5ヶ月の計画進行に遅滞を生じたことにより、予定数の購入が行えず、次年度に1,319,122円の使用額が生じた。 次年度平成26年度には、ApoE欠損マウスを60匹使用する予定であるが、現在ApoE欠損マウスがおおよそ1匹45千円であり、60匹購入で2700千円を使用する予定である。今回生じた次年度使用額は、全てこのApoE欠損マウス購入に使用する計画である。
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