研究課題
孤発性筋萎縮性側索硬化症(ALS)の原因としてグルタミン酸受容体サブユニットGluA2のRNA編集異常が考えられている。本研究ではADAR2と関連するALS原因遺伝子を同定し、ADAR2の発現調節を行う事によりニューロン死を抑制し、ALSの新規治療戦略を構築することを目的としている。初年度にはALS原因遺伝子の野生型ならびに変異型遺伝子をクローニングし、in vivo電気穿孔法に用いるプラスミドを構築した。2年目では構築したプラスミドを用いて、in vivo電気穿孔法により細胞死や封入体などの病理学的変化が生じるか検討した。TDP-43、FUS/TLSならびにTAF15のいずれにおいても本法で細胞死は生じなかったが、TAF15においては封入体形成が観察された。今年度はin vivo電気穿孔法によりTDP-43が導入された脳領域からmicroRNAを採取し、チップを用いて解析した。野生型と変異型のTDP-43導入組織におけるmiRNAの比較から、変化率の大きいものを8種選択した。これら8種のmiRNAについて、実際にin vivo TDP-43導入組織にて発現が変化していることを定量PCRを用いて確認した。しかしながら培養細胞系(HEKおよびNeuro2a細胞)を用いて一部のmiRNAを導入したが、明らかなTDP-43発現の変化や封入体形成は認められなかった。本研究において、変異型TDP-43において誘導されるmicroRNAが検出されたことは今後の研究の大きな足がかりとなるものと考えられる。一方で単一のmicroRNAでは細胞レベルでの変化を生じさせることが困難である可能性も示唆された。今後は複合的な要因やヒト組織での変化などの検討が必要となるものと考えられた。
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巻: 38 ページ: 293 301
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