研究課題
本研究は、脱髄型ギラン・バレー症候群(GBS)における自己免疫の標的分子を、プロテオーム解析の手法により同定し、その病態解明とそれに基づく新規治療法を開発することを目的とした。脱髄型ギラン・バレー症候群の標的分子は、これまでの知見から、末梢神経ミエリンの構成蛋白質でなく、Schwann細胞外層表面に発現する蛋白質であると予想される。これまでに我々は、schwannoma細胞株から抽出した蛋白質を2次元電気泳動で分離し、Western Blottingによりサイトメガロウイルス感染後の脱髄型GBS患者血清中IgGと免疫反応する蛋白質を、質量分析計で解析することでmoesinを同定した。抗moesin抗体はGBS40症例中7症例で陽性となり、陽性例にサイトメガロウイルス感染後の6症例のうち5症例が含まれていた。MoesinはSchwann細胞のmicrovilliに局在し、髄鞘化との関連が報告されており、抗moesin抗体の病態への関連が示唆された。本研究ではさらに、サイトメガロウイルス以外の先行感染起因病原体による免疫標的蛋白質を探索するため、免疫沈降法を用いた手法で解析を行った。これは、schwannoma細胞に直接血清を添加し、自己抗体を細胞表面の標的分子と結合させ、その結合が壊れないようにBufferで細胞を緩やかに破砕し、プロテインGビーズを用いて抗原が結合した状態で自己抗体を回収し、抗体と結合する抗原を質量分析計で解析する手法である。質量分析計による蛋白質同定は、サンプル溶解液中の蛋白質を酵素消化でペプチドにして、液体クロマトグラフィーで分離した後、高分解能の質量分析計で解析するショットガン解析を行った。これまでに本手法により、先行感染がサイトメガロウイルス以外の病原体による1症例で、約300個の蛋白質が同定され、このうち約50個が膜蛋白質であった。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 謝辞記載あり 1件)
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