研究課題
平成26年度は、検体の収集、既知遺伝子変異のスクリーニングを行うともに、エクソーム解析の準備を進めた。本年度は新たに3家系を追加することができた。稀少疾患である片麻痺性片頭痛の家系収集は順調に進捗しているものと考えている。これらの家系において、既知遺伝子変異のスクリーニングを行った。これまでのところ明らかな変異は認めていない。一方、発熱を伴う意識障害が長期に持続し、急性期に頭部MRAで著明な血管拡張と、脳血流SPECT検査で片側性の著明な血流上昇を認める家族性片麻痺性片頭痛の家系を経験した。発症者は全例で網膜色素変性症を合併していた。てんかん発作を合併する症例も存在した。網膜色素変性症の合併からミトコンドリア病も考えられたが、ミトコンドリア遺伝子解析では明らかな変異を認めなかった。また、マイクロアレイによる家族性片麻痺性片頭痛の既知遺伝子のスクリーニングではいずれも変異を認めず、新規病因遺伝子の存在が強く疑われた。てんかん、片麻痺性片頭痛、網膜色素変性症を合併する特徴的な臨床像から、臨床的にも重要な家系例と考えられたため、まずこの家系に集中して解析を行うこととした。発端者及び家族に協力を得てゲノム検体を取得した。そして、発端者においてエクソーム解析を遂行した。現在データを取得しており、分析を進めている段階である。今後は、得られたエクソームデータから、中枢神経と網膜に発現している遺伝子を中心に、神経細胞の電気的活動を修飾しうる遺伝子に着目して、候補遺伝子を絞り込む。得られた遺伝子について、他の家系における解析も進めていく予定である。
2: おおむね順調に進展している
H26年度中に、エクソーム解析を開始しており、おおむね順調に進展している。特に、臨床的に非常に特徴的な家系に集中して解析を開始したことで、より効率的に新規病因遺伝子の同定に向けた研究が遂行できていると考えている。
今後は、エクソーム解析の結果から、病因遺伝子を絞り込む作業を進めていく。ヴァリアントデータベースの情報を活用し、新規の変異を絞り込む。遺伝子発現、遺伝子機能等に基づき、候補遺伝子を選定する。特に、既知の病因遺伝子と機能的に関連しうる遺伝子群を、パスウェイデータベースなどを用いて絞り込んでいく。これらの遺伝子に関して、類似の臨床像を呈する他の家系での解析も進める。また、エクソーム解析を追加することで、病因遺伝子の探索を進める。
平成26年度は、エクソーム解析を、臨床的に重要な家系に集中して行ったた。従って、一部の解析を次年度に持ち越して行う事になったため。
本年度に、追加家系についてエクソーム解析を行い、研究費を使用する。
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Bioinformatics
巻: 30 ページ: 815-22
10.1093/bioinformatics/btt647