網膜色素変性症を伴い重篤な臨床症状を呈する家族性片麻痺性片頭痛の家系におけるエクソーム解析を行った。発端者において、データベースに登録されていない新規非同義性塩基配列置換は67個であった。内訳は、ミスセンス変異62個、ナンセンス変異1個、フレームシフト変異4個であった。さらに、26個の変異は他の既知の病因遺伝子に存在しており、残りの41遺伝子が病因遺伝子の候補として有力であると考えられた。現在非発症者の親の解析を進めている。 さらに、研究期間内に29例の家族性片頭痛のエクソーム解析を行った。1例においてATP1A2の新規遺伝子変異を、1例においてSCN1Aの既知遺伝子変異を認めた。残り27例全体としてのべ2473個のアミノ酸置換を伴いデータベースに報告のないバリアントを認めた。このうち複数症例で共通するバリアントは188個であった。これらの遺伝子の中には、電位依存性カルシウムチャネルサブユニットやイオントランスポーターなど既知の片麻痺性片頭痛の病因遺伝子と機能的に関連している遺伝子や、他の疾患の病因遺伝子として報告されているものの、臨床的に片頭痛を合併することが報告されている遺伝子など、興味深い遺伝子が含まれていた。今後は前述の家系解析の結果も含め、病因遺伝子を探索していく。
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