研究課題/領域番号 |
25461272
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
他田 正義 新潟大学, 脳研究所, 助教 (10467079)
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研究分担者 |
小野寺 理 新潟大学, 脳研究所, 教授 (20303167)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | SCD / ataxia / polyglutamine disease / therapy / oligomer |
研究概要 |
ポリグルタミン病において原因蛋白の重合体形成が強い細胞障害性を有し神経変性を惹起するという「重合体毒性仮説」に基づき,重合体形成阻害を分子標的とした新規治療薬の開発を行った.研究者はこれまでに,protein-fragment complementation assay 法を用いて変異ポリグルタミン蛋白の重合体形成を生細胞内で検出する培養細胞システムを樹立し,アメリカ食品医薬品局認可の小化合物ライブラリーを用いて大規模薬剤スクリーニングを行った.その結果,2,140を越える薬剤の中で,51剤が80%以上の重合体形成阻害効果を示し,302剤が50%以上の阻害効果を示した.この候補薬の中から既に臨床使用されている薬剤トップ25を抽出し,ポリグルタミン病モデル線虫を用いて治療効果を検討した.まず封入体解析において6つの薬剤が疾患モデル線虫の封入体面積・総数を有意に減少させた.この6候補薬の中で,高血圧治療薬として既に広く臨床使用され長期服用による副作用も少ないと考えられる PolyQ Aggregation Inhibitor 39095 (QAI-39095) に着目し,表現型解析および生化学的解析を進めた.その結果,本薬剤により封入体数・面積の減少に加え,運動能の改善,寿命の延長,重合体量の減少が認められ,その効果発現に熱ショック蛋白70の発現誘導が関係している可能性が示唆された.QAI-39095は動物実験で血液脳関門を通過することも示されている.今後,疾患モデル動物を用いた効果の検証を行う.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究目的・研究計画で挙げた (1) ヒト剖検脳における重合体蓄積と神経変性との関連解析,および (2) 重合体形成阻害を分子標的とした新規治療薬の開発については概ね順調に進展している.一方,(3) iPS細胞を用いた病態研究・創薬研究については患者皮膚線維芽細胞からのiPS細胞樹立が上手く行かず遅れている.
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今後の研究の推進方策 |
各研究計画は単年度での完了が見込めないため,平成26年度以降も継続して遂行する.
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次年度の研究費の使用計画 |
病理学的解析や細胞培養,生化学的解析に使用する試薬等の物品支出が低コストに抑えられたため,次年度使用額が発生した. 試薬等の物品費,研究成果発表の旅費に当てる.
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