研究課題
本年度は,ロテノン誘発ドパミン神経障害へのアストロサイトにおけるオートファジー(マイトファジー)関連蛋白の発現変化について検討した.p62はオートファジーにおいてユビキチン化蛋白の分解を担うだけでなく,生体防御機構として最も重要とされる抗酸化機構への関与も報告されている.リン酸化p62はKeap1との結合性が高いためKeap1-Nrf2複合体からNrf2を遊離させ,Nrf2を活性化させることで抗酸化分子を誘導する.そこで,中脳アストロサイトあるいは線条体アストロサイトにロテノン(5 nM)を6,24時間処置し,アストロサイトにおけるリン酸化p62の発現変化をWestern blot法により検討した.線条体アストロサイトおよび中脳アストロサイトともに,ロテノン処置の6時間後,24時間後のリン酸化p62発現に変化はみられなかった.また,ミトコンドリアのマーカーであるTom20発現についても同様に検討したが,有意な変化はみとめられなかった.Parkinはユビキチンリガーゼ活性を有し,異常ミトコンドリアの除去(マイトファジー)において重要な働きを担う分子である.ロテノン(5 nM)を24時間処置した線条体あるいは中脳アストロサイトにおけるParkinの発現変化を検討した結果,線条体アストロサイトではロテノン処置によるParkin蛋白の有意な増加がみられたが,中脳アストロサイトでは変化はみられなかった.雄性Lewis系ラット(7週齢)にロテノン(3 mg/kg/day)を浸透圧ミニポンプを用いて4週間慢性皮下投与し,線条体および黒質のアストロサイト形態変化について抗GFAP抗体を用いて免疫染色により検討した.線条体ではGFAP陽性アストロサイトの活性化および集簇がみられたが,黒質では活性化アストロサイトが確認できたものの,明らかな変化はみられなかった.
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