ミトコンドリアComplex I阻害剤である農薬ロテノンを慢性皮下投与したパーキンソン病モデルマウスでは,黒質線条体だけでなく,嗅球,結腸においても神経障害を惹起するが,胸髄では惹起されないこと,グリア細胞の反応性が時間および部位により異なることを明らかにした.これにより,神経変性は必ずしも末梢から上行するわけではなく,その部位特異性にはグリア細胞の反応性の違いが関与している可能性が示唆された. ロテノン誘発ドパミン神経障害にはロテノン暴露による中脳アストロサイトでのNFAT活性化,炎症性サイトカインの分泌,抗酸化分子メタロチオネイン発現低下などアストロサイト機能不全が関与する可能性を見出した.
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