多発性硬化症モデルマウスの脊髄病変で活性化している中枢ミクログリアが神経障害性か神経保護的かは議論の余地があった。我々は、中枢ミクログリアの遺伝子発現パターンを精査した結果、神経保護的因子を多く発現していることを発見した。今回の研究で、これらの保護的ミクログリアの機能を増幅することで、現在治療法がない慢性期の症状改善を目指した。先の遺伝子発現解析で、ミクログリアがエンドセリン受容体EDNRBを高発現していることを見出した。我々は、EDNRBの選択的拮抗薬BQ788を投与したところ、疾患の重症度を軽減させることに成功した。このことから、BQ788は多発性硬化症慢性期治療薬となることが期待された。
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