研究実績の概要 |
抗電位依存性カリウムチャネル(VGKC)抗体関連神経症候群と称されていた複数の疾患において、真の標的抗原に対する自己抗体を網羅的に解析した。 各抗原のCell-Based ELISA assay系を構築した。 抗VGKC複合体抗体関連疾患において、7つの新規抗原(DCC,DPP10,TMEN132A,OZD1,CSMD1,GABAAR,ADAM23)を同定した。 さらに、LGI1自己抗体がLGI1とその受容体であるADAM22との結合を阻害することにより、脳内の興奮性シナプス伝達の大部分を担うAMPA受容体機能を低下すること明らかにした。 さらに自己免疫性辺縁系脳炎でGABAA受容体に対する自己抗体を持つ一群を見出した。その臨床的特徴は、浸潤性胸腺腫を合併し、免疫療法に反応しがたく、言語性記憶障害が残存しやすいというものであった。血清学的には、GABAA受容体β3サブユニットの細胞外エピトープが標的となり、抗体の結合により、シナプス上の受容体の減少が起こり、選択的に抑制性シナプス後電流を減少させることを明らかにした。これらの結果を踏まえ、神経学会、神経科学会、神経免疫学会などでシンポジウム発表を行った。
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