研究課題/領域番号 |
25461288
|
研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
大島 洋一 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (50516060)
|
研究分担者 |
徳田 隆彦 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80242692)
笠井 高士 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (70516062)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | アルツハイマー病 |
研究実績の概要 |
β-アミロイド (Aβ) 蛋白動態への影響を調べるために家族性アルツハイマー病 (FAD) 細胞モデル、即ち野生型APP及びアミロイド前駆蛋白 (APP) 変異遺伝子を導入した細胞を用いて、ニコチンまたはメチルビニルケトン (MVK) 刺激時の細胞内外のAβ monomer、Aβ oligomer量を検討した。まずHEK293細胞におけるニコチン性アセチルコリン受容体 (nAchR) の発現をPCR法で確認した。野生型、Sweden型、London型APP遺伝子を導入したFlp-In T-REx 293細胞をニコチン 20μM、MVK 100nM共存下に無血清で3日間培養した。培地・細胞成分を回収し、Aβ monomerおよびAβ oligomer量をELISA法で定量した。HEK293細胞のcDNAで、 nAchR のα7とα4 subunitの発現がみられた。ニコチンとMVK暴露により野生型APP、変異型APP導入細胞で細胞外Aβ1-40量が有意に増加した (p<0.05)。一方、細胞外Aβ1-42量には差がみられず、Aβ1-42/Aβ1-40比は低下した。ニコチンによる細胞外Aβ1-40産生の増加はnAchR拮抗薬である tubocurarineにより抑制された。細胞外Aβ oligomer及び細胞内Aβmonomerとoligomer量はニコチンまたはMVK刺激で差がみられなかった。Aβmonomerの凝集能は Aβ1-42の方が高いと報告されていることから、ニコチン暴露によりAβ1-42/Aβ1-40比が低下し、nAchR介在性にAβ蛋白凝集能が低下する可能性が考えられた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ニコチン共存下で野生型APP及び変異型APP導入細胞において細胞外Aβ1-42/Aβ1-40比の低下がみられた。当初の計画通り、ニコチン刺激によるAβ蛋白の変化を観察することができ、ニコチンが細胞外のAβ産生能をnAchR介在性に調節する可能性を示唆することができた。
|
今後の研究の推進方策 |
野生型APP、変異型APP導入細胞を培養した培地に認知症治療薬であるメマンチン、高脂血症治療薬であるスタチンなどを刺激して培地成分、細胞成分を回収する。細胞内外のAβ monomer、Aβ oligomer量をELISA法、ウェスタンブロット法で定量し、FAD細胞モデルにおける各試薬におけるAβ蛋白の産生量変化を解析する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
当初想定よりAβ蛋白解析用の消耗品額を低く計上できた関係で、次年度使用額が生じました。
|
次年度使用額の使用計画 |
平成28年に本科研費の成果を学会で発表、また論文投稿による追加実験の消耗品費用として使用する予定です。
|