研究課題/領域番号 |
25461290
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
波田野 琢 順天堂大学, 医学部, 准教授 (60338390)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | Glucocerebrosidase / Parkinson's disease / Lipid raft |
研究概要 |
Glucocerebrosidaseは糖脂質の代謝酵素であり,その異常はGaucher病としてしられているが,パーキンソン病の遺伝的危険因子であることも明らかになっている.この酵素は糖脂質代謝に関連しているが,糖脂質は膜機能ドメインである脂質ラフトに豊富に含まれている.そのためglucocerebrosidaseの病的変異体は脂質ラフトに影響を与える可能性がある.Glucocerebrosidaseの病的変異は細胞内局在が変化する可能性が指摘されており,本年度は局在に関して詳細な検討を行った.野生型glucocerebrosidaseはリソソームに局在するが,病的変異体は小胞体やゴルジ装置に局在を変化することが培養細胞の免疫染色で確認できた.また,生化学的に,optiprepを用いた密度勾配方で細胞内小器官を分画したところ,野生型glucocerebrosidaseと病的変異型は局在が異なっていた. また,培養細胞の内在性のglucocerebirosidaseは脂質ラフトに局在しており,局在からも脂質ラフトに影響を与えることが示唆された.現在まで,脂質ラフトには家族性パーキンソン病の原因蛋白であるα-synucleinやSLRRK2が局在していることが知られている.今後,病的変異型glucocerebrosidaseは膜の脂質組成をどのように変化させるかについて脂質分析を行い,家族性パーキンソン病関連蛋白の局在が変化するかどうかを確認していく. 膜組成の変化がパーキンソン病の病態にどのように関わるかを解明することで,病気のメカニズムを明らかにすることができる可能性があり,治療につながる事が期待できる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在,glucocerebrosidaseの局在の変化および脂質ラフトへの影響が免疫組織学的細胞染色および生化学的分画法で確認ができている.さらにglucocerebrosidaseの局在する膜脂質の組成に関する脂質分析が始まっており,条件も整ってきている.また,in vivoの実験としてdrosophilaを用いた解析を予定し5月には実験が開始できる状況であり計画は順調に進展していると考えている.
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今後の研究の推進方策 |
Glucocerebrosidaseがどのように膜組成に影響を与えるか脂質分析を行う.また,in vivoの実験としてdrosophilaを用いて解析を進める.
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次年度の研究費の使用計画 |
抗体やウェスタンブロッティングの試薬を効率よく使った事で本年の出費を抑制することが可能となった.次年度はdrosophilaeの実験への取り組み,脂質解析が本格化する.Drosophilaの維持,解析費用は多くなることが予想され,初年度は出費を抑える様に努力した. Drosophilaの維持および管理,脂質解析に予算を使用する予定.また,本年度はSwedenで学会があるが,その参加費用に用いる予定.
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