研究課題
基盤研究(C)
パーキンソン病の新しいマウスモデルを確立する目的でパーキンソン病の発症感受性遺伝子として報告されているミトコンドリア呼吸鎖複合体IのサブユニットであるNDUFV2に着目し研究を実施した。これまでの研究からNDUFV2ノックアウトマウスは胎生致死であること、さらにNDUFV2ヘテロノックアウトマウス(NDUFV2+/-)は野生型と比べ1-methyl-4-phenyl-1,2,3,6-tetrahydropyridine (MPTP) に対する感受性が亢進していることが明らかとなっている。そこで今年度はMPTPに対する感受性の違いがどのような分子に影響を与えているかを詳細に検討することを目的とし、プロテオミクス解析を実施した。これまでの研究成果より確立されたスケジュールに従って野生型およびNDUFV2+/-マウスにMPTPを急性投与し、最終投与48時間後にマウス脳を摘出した。摘出した脳からパーキンソン病およびMPTP投与モデルマウスの病変部位である中脳および線条体に加え、大脳皮質を分画し、それぞれの分画に対してisobaric tags for relative and absolute quantitation (iTRAQ) 法およびliquid chromatography tandem mass spectrometry (LC-MS/MS) 法を用いて野生型とNDUFV2+/-マウスのタンパク質量の差を測定した。解析の結果、中脳では92種類のタンパク質、線条体では54種類のタンパク質で統計学的に有意な量の差を見出した。
2: おおむね順調に進展している
iTRAQ法を用いることで、NDUFV2+/-マウスのMPTP感受性亢進に関与する分子を網羅的に多数同定した。これらの分子にはATP合成に関与する分子やカルシウムシグナリング、アポトーシスに関与する分子などパーキンソン病の新しいモデルマウスを確立するにあたり有用な分子を多数見出しており、本研究の目的である新規パーキンソン病モデル動物を開発するにあたり非常に有用な情報となると考えられる、
今年度の研究成果から見出したタンパク質についてin vitroならびにin vivoで解析を個々に実施し、最も有用なタンパク質を明らかにする。
当初の計画ではiTRAQ解析を実施する前に2次元電気泳動をもちいたプロテオミクス解析を計画していたが、直接iTRAQ法をもちいて実施したことにより次年度使用額が生じた。今年度見出した分子を検討するために多くの抗体を購入することが必要であり、次年度使用額は主に抗体購入費として使用する計画である。
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