研究課題
常染色体優性遺伝性パーキンソン病(ADPD)の責任遺伝子として1997年以降SNCAとLRRK2などが同定されているが,いまだADPDの全体像は不明である.そのため,本研究ではADPDの全貌を明らかにし,その分子遺伝学的知見から病態の解明に繋げていくことを目標とした.対象として本年度まで遺伝子バンクの構築を継続し,450を超えるADPD家系の解析を進めてきた.昨年度まで,SCA2のCAG繰り返し配列 (ポリグルタミンをコード)の中間伸長がADPDの2.3%を占める一方,他の主なポリグルタミン病の伸長は認めないことが判明した.さらにこの知見を世界的大規模解析に繋げ,結果を国際誌に発表した.また,GBA変異の大規模解析により,GBAのヘテロ変異が日本のADPDの実に25.9%を占めることが判明し,孤発性のみならず家族性特にADPDの発症に強く関与する遺伝的因子であると考えられた.これらの世界的にも新しい知見を国際誌に発表し,ADPDの全貌を明らかにする上での本研究の成果を共有するとともに,ADPDの遺伝子解析スクリーニングの際にはSNCAの重複変異,LRRK2の変異のhot spotに加えGBAの点変異やSCA2のCAG繰り返し配列の変異解析も十分に考慮されるべきという指針を示すことができた.さらに,これまで当施設での診療,遺伝子バンク構築の過程においてADPDの1大家系を見出すことができていたが,研究代表者らは本研究で作成した同意書のもと発症者・非発症者の採血および研究協力の同意を得て,家系情報の収集,詳細な診察記録など現地調査を行った.そして本年度には本家系より新規責任遺伝子CHCHD2の同定を報告できた.また遺伝子バンクの他の家系からも本遺伝子変異が認められ,同様に書面で同意を得て非発症者も含む遺伝的解析,家系情報の収集,詳細な診察など現地調査も行い,CHCHD2変異をもつ家系・患者群の遺伝学的,臨床的特徴を評価できた.これらのことは,本研究の大きな目標の達成に繋がる成果となった.
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