研究課題
AD患者脳では種々のガングリオシド(Gg)を含めた糖脂質に量的・質的異常がある事がこれまでに多数の文献で報告されている.これまで鋭意取り組んできた本プロジェクトでは、こうした糖脂質が局在する形質細胞膜上の細胞膜ラフトに注目し、その質的・量的異常の検出と同構造物が担う細胞内情報伝達機能に及ぼす影響を、神経系培養細胞であるpheochromocytoma PC12 cells やSH-SY5Y neuroblastoma cellsの培養系や病理学的に診断確定したAD患者剖検脳を用いて詳細に調べた.さらに、本研究の遂行中に中枢及び末梢の神経系全体が障害されてくる脳脊髄根末梢神経炎 (EMRN)患者髄液・血清中にラクトシルセラミド(LacCer)やグルコシルセラミド(GlcCer)などの中性糖脂質に対する抗体を世界で初めて発見した.この抗中性糖脂質抗体は、急性の認知症を呈し末梢神経系も障害されてくるEMRNの鋭敏なdisease markerになる事を報告した(Shima S et al. Neurology 2014)。こうした研究の展開もあり、AD患者試料中でもこうした抗中性糖脂質抗体が存在するか否かの検討を血清・脳脊髄液などを用いて始めている.さらに、脂質ラフトを上記抗体で染色し、対照のそれと明確に異なる染色パターンを呈する事を見出した.(論文投稿中)一方、患者脳脊髄液、血清などを用いこれら患者試料中の中性・酸性糖脂質を同定定量できるような実験系の構築に努めた。薄層クロマトグラフィー(TLC)を用い、患者試料を溶媒で展開後そのTLCプレートを直接MS/MSに掛け同定・定量することが可能となる事が判明した。今後鋭意患者試料で検討予定である。
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