研究課題/領域番号 |
25461299
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研究機関 | 明治薬科大学 |
研究代表者 |
紀 嘉浩 明治薬科大学, 薬学部, 講師 (80415140)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ALS / FTD / 神経変性疾患 / FUS/TLS / RNA結合タンパク質 |
研究実績の概要 |
FUS/TLSは筋萎縮性側索硬化症(ALS)の責任遺伝子の一つであり、本態性振戦の家系においても変異が報告されている。また、FUS/TLSタンパク質は前頭側頭葉変性症やポリグルタミン病の一部でタンパク質封入体に存在する。生体におけるFUS/TSLの機能を調べるために、FUS/TLSの欠損マウスを作製し、その表現型を解析した。近交系においては、FUS/TLS欠損マウスは生後すぐに致死的であるが、非近交系ではadultとなるまで生育可能であった。このマウスは体躯が小さいが、目立った運動機能の低下は見られず、行動解析を行ったところ、活動性の亢進と不安様行動の低下が確認された。一方、2年間近く生きたマウスまで観察したが、ALS様の症状や振戦は確認されなかった。病理学的な解析からも、脊髄運動ニューロンの減少や筋萎縮などの異常は見られなかった。これらの結果は、ALSがFUS/TLSの単なる機能低下で起こるのではないことを示唆していると考えられる。興味深いことに、8週齢から12週齢のマウスの多くで海馬CA3および歯状回門部に空胞形成を認めた。FUS/TLS欠損マウスにおける分子レベルの変化を検出するため、Affymetrix社のExonArrayを用いて線条体および脊髄の遺伝子発現状況を網羅的に検討した。その結果多数の遺伝子において発現量の増減やRNAプロセシングの変化を検出した。その一部は定量的PCRなどで確認をとった。FUS/TLSは各種のRNA顆粒の形成に関与していると考えられている。それらの顆粒状構造のマーカータンパク質の局在をFUS/TLS欠損マウス脳切片において検討したが、目立った変化は観察されなかった。以上より、生体でのFUS/TLS機能欠損の影響に関する基礎的な知見を得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
FUS/TLS欠損マウスの表現型に関して基礎的なデータを得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
FUS/TLS欠損マウスおける遺伝子発現変化に関して網羅的な解析結果を得たが、この中からいくつか代表的な標的遺伝子を選別し、詳細な制御機構の解析に進みたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年の所属機関の変更に伴い、実質的な研究時間が予想よりも少なくなった。そのため、消耗品に使用する額が減少した。また、ディープフリーザーが必要になり、その購入に予算を回したため、当初の予定とは必要額が異なる結果となった。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額は本年度購入するはずであった消耗品の購入に充てる予定である。
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